王道がダメなら、変則的な戦法でやればいい 原田曜平×瀧本哲史 対談(後編)

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原田:本当にたまたまなんですが、結果的に最先端のマーケティングを経験させてもらってきました。たとえば、最も川上である研究業務、様々なジャンルのメーカーさんと組んでやる商品開発業務から、最も川下であるPR、宣伝領域まで一貫して体験している人はそうそういないと思います。

また、実際の若者たちと「with C」型(消費者と協働してアウトプットをしていくという手法)な業務をしていますが、ここまでやっている組織もそうそうないと思います。

また、もう10年くらい中国を行ったり来たりしながら、中国でも同じような業務を行っていますし、5年前くらいからは東南アジアでも同じことを始めて行ったり来たりしているので、2050年には世界のGDPの半分をアジアが占めると言われる、「グローバル」「アジア」というキーワードが注目される中、日本と東アジアと東南アジアのマーケットを、「若者」という横串で一貫して見れる人もそうそうはいないと思います。

ですので、せっかく自分が、本当にたまたま経験させて頂いてきた最先端のマーケティングを、やっぱり、これもたまたまですが、これだけたくさんの若者たちと接して生きてきたので、彼らに還元してあげたいな、未来の素敵な日本を創るために良質な人材を育成したい、という気持ちが沸いてきたんです。

意思が弱いこともメリットになる

瀧本:大学においても、戦略、ポジション、専門、契約形態などで、いろいろな関わり方がありますね。

原田:そうあってほしいですけどね。僕は意志が弱いわけですよ。本当に映画監督になりたければ最初から映画の製作会社に行ってただろうし、予想外な異動を命じられたら辞めた人もいるだろうし。本当に誰かに言われるがままに生きてる感じですよね。

「置かれた場所で咲きなさい」というベストセラーがありますが、僕が咲いているかどうかはさておき、年々幸福度が上がっていることだけは間違いありません。僕は気が弱いくせに自己主張が強い。従いながら自己主張していたら、うちの会社も優しいから、合うほう合うほうに調整してくれる。だから自分で判断するより、善意な他者の自分への目に頼ったほうがいい人も世の中にはいるんじゃないかと思います。

瀧本:多分、原田さんを面白いと思う人がいて、動かしてみたくなるんでしょうね。

原田:僕のことを嫌いな方もいらっしゃると思いますけど、たまたま転機となるような異動を命じる方の中には、僕を買ってくださる方もいる。会社全体の意志というより、そういうキーマンが何名かいらして、その人の意志で動かされてきた感じなんですよね。

瀧本:大企業にはいろんな考えの人いるから、とんがっているところが面白いと思ってくれる人がいる。これがオーナー企業だったり、小さな会社だったら、一人のトップが面白くないと思ったら、厳しくなりますね。

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