現状に満足と考える人がはまる意外な「落とし穴」 良くも悪しくも今の状況は永遠に続かない

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ご自身の幸せについても理解されているようですし、何よりできる範囲でご実家に家賃を入れているという点でも素晴らしいことだと思います。

そもそも、ヒトにはそれぞれ生き方や考え方がありますから、ご自身が満足していて、周りに迷惑をかけていないのであれば、その生き方について批判をすること自体、おかしいというものです。

むやみに頑張らず、長い目で見て考える

しかしながら、IMさんが漠然と不安を持たれているように、現時点ではこの考え方や生き方で問題はないのですが、今後を考えると少々不安があることは確かですから、ちょっとした軌道修正をするべきとは思います。

それは、むやみに頑張れとか、周りと同じ(と思われる)生き方をしろ、という意味ではありません。ご自身が納得していないのに頑張る必要はありませんし、そういった生き方はそれこそ長続きしません。

そうではなくて、冒頭に申し上げたとおりもう少し長い目で見て、「今の前提が続くわけがない」という危機感を少しは持ち、その上でどうするかを考えると良いのだと思います。

現在の仕事ができなくなったらどうなるか、親の介護やご自身が大きな病気をしたらどうなるか。そういったことも考えつつ、将来への備えをする事も大切でしょう。

例えば、今は20万円そこそこの収入で十分な暮らしをしている、ということですが、あくまでもそれは「現時点において」です。ご自身やご家族など、周りに大きな変化が生じた場合、その20万円で十分であるかは誰にもわかりません。

現在のIMさんの幸せの源泉?である読書やウイスキーにしても、経験を重ねるにつれてもっと多くの本を読みたくなったり、もっと良いウイスキーを飲みたいと思うようになれば、当然、今より時間もお金も費やす必要があるわけです。

要は、ご自身の好みや趣味も時とともに変わる、ということです。

いずれにせよ、現時点での幸せだけではなく、将来の幸せを頭の片隅に入れておく必要があるのだと思います。

繰り返しますが、大きな夢を持てとか、今以上の生活をしろといっているわけではありません。「足るを知る」ではありませんが、自身の考える幸せの形を理解していることは非常に大切です。

他人の考える幸せの形を追求することはありませんし、周りに流される必要もありません。ご自身の人生なのですから、自分が考える幸せの形や満足を追求すれば良いのです。

今と同じ満足感や充実感を今後も持ち続けるためには、将来に対する備えも大切です。そういった意味では、「環境や自身の変化とは関係なく、ご自身の考える満足を今後も追求できるように生きる」ということで良いのだと思います。

仕事に対するモチベーションを上げようと考えるより、むしろご自身の生活をキープするためにうまく生きることを考えるとよいでしょう。

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