事実、アメリカは2000年にかけて株価が急上昇しましたが、結局マクロ経済の数字は全くよくなりませんでした。これなどは、のちに「テックバブル」と呼ばれるわけですが、景気の回復(マクロ経済の回復)と株価の上昇の関係を如実に表す、良い例でしょう。
リーマンショック後もアメリカのマクロ経済は酷い状態になったものの、株価自体は1年半もしないうちに元の値段に戻っているのです。しかし、失業率などが元に戻ったのはついこの前、今年の5月になってやっと元に戻ったわけですから、株価が上昇すればすべて解決ということにはなりません。
「円安による経済効果」も間違い、東北経済も直撃
もう一つの間違いは円安による経済効果、ということです。繰り返し書いてきていますが、日本の輸出依存度は、たかだか15%しかありません。もちろん、その15%は円安の恩恵を受ける可能性はあるのですが、その他85%はむしろ輸入価格の上昇によりダメージを受けます。大企業ばかり集めたといっていい、上場企業に限ってみても約3800社ある企業の中で、海外売上比率が50%を超えている企業は300社にも満たないのです。
中小企業はほとんど関係ないとすると、日本企業のわずか300社だけが円安の恩恵に預かるということです。韓国のように、その一部の企業だけでGDPの6割を占めるというのなら話は別です。しかし、日本では99%以上が中小企業、GDPの6割は消費によって占められているのです。
さらに東北復興に携わっている現場感覚から言いますと、円安は東北経済を直撃しているのです。みなさま、冬の東北に来られたことはありますか?
移動には車がマストです。暖房は圧倒的に灯油に頼っています。ガスもプロパンです。主力産業である農家のハウス栽培はすべて灯油を焚いて冬の寒さを凌いでいます。震災の被害が甚大だった沿岸地域の主力産業は漁業です。当然漁船には燃料が必要ですね。
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