特に、選挙などで人手が出なくなる小売業はダメージが大きく、外食産業などもかなりダメージがあるでしょう。一番やってはいけない事を一番やってはいけない時期にやるのですから、これはますます「イケマセン」。
株価が上昇しても、経済全体が良くなるとは限らない
安倍政権は、いったい何を間違ってしまったのか。もちろん消費税増税をすればどうなるか、ということは今回も1997年の橋本内閣の時と全く同じパターンなので、学習効果があれば予測できたはずです。
このときも、メディアが1997年の9月くらいまでは影響はない、と口をそろえていたことは当時の新聞を読めばすぐわかります。1998年にアジア通貨危機があった当時とは状況が違うのだ、というのも増税派がすぐ口にする言葉ですが、それは、当時日本はアジア諸国を救済する側に回っていたわけで、日本経済自体が混乱したわけではないことを忘れています。
アジア貿易の比率も、今とは比べ物にならないほど低かった。要するに消費税増税により景気後退を招き、参議院選挙で大負けして、橋本内閣は退陣に追い込まれたという流れだったわけで、もしかすると安倍首相はそのことを考えて早めに解散してしまおう、と考えたのかもしれませんが、政局としての判断は「正解」でも、経済政策上はあまりほめられたものではありません。
さらに安倍政権はいつのまにか「株価の上昇=景気回復」と考えていたフシがありますね。国会などでも安倍首相は「株価は上がっているではないですか!!」などと答弁されているので、どうやら株価が上がれば景気が良くなる、とお考えになっている様子。
しかし、株価というのは国全体の経済の動き、つまりマクロ経済とはむしろ対極にあるミクロ経済、一つ一つの企業業績の集積なのですから、企業業績が良くなって株価が上がることはありますが、その逆ではない。
今回のように、バズーカ緩和を発動し、日銀がETFを買い、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)にアセットアロケーションを変えさせてまで株を買い支えれば、株価は確かに上がるのです。それによる資産効果(株式を保有している人の資産が増大しそれにより消費が増える・・事実、高額品消費は増えている)は否定しませんが、だからマクロ経済全体がよくなったという話とは全く別物なのです。
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