GPIFは、株価水準に関係なく買う
日銀の異次元緩和第2弾、安倍首相の消費税引き上げ先送り解散、GPIF等による公的年金のリスク資産買い、の「株価押し上げ3点セット」が出そろい、日経平均が高値を更新してきた。ここまでは、予想通りの展開だ。
競馬で言うと、八百長を予想して馬券を当てたような、幾らか嫌な心持ちがしないでもない展開だが、当たりは当たりとして喜ぶことにしよう。筆者は証券マンでもあり、株価が上がるのは商売上もいいことだ(実は、個人的には上げ相場がそんなに好きではないが)。
しかし、困ったことが、一つある。どこまで上がるのかが、わからないのだ。
もちろん、どんな相場も天井の株価をピタリと当てることは至難の業なのだが、今回は特にわからない理由がある。
それは、株価の上昇のどれだけが、GPIFの買いなど「需給的な要因」によるものなのかがわからないことと、株価水準を判断しようとする際に、いわば比較の土台になる金利の水準が自然なものでないからだ。
今の日本市場で、数兆円単位の大きなカネを投入すれば、株価は上がる。これからも買うなら、これからも上がる。視点を公的年金側に移して「株価を上げずに、数兆円単位の株式を買い増すことが難しい」という方が真の事情と問題点がわかりやすいかも知れないが、現実にこの要因については考慮に入れる必要がある。
普通の投資家は驚くかも知れないが、GPIFの運用計画は、株価がいくらなら投資するか・しないか、という要素が一切考慮されていない。純然たる運用として考えるならかなり杜撰な話だが、鉛筆を舐めて決定した期待リターンが(「希望リターン」と呼ぶ方が適切かも知れないが)あると決め込んで、その時の株価が安くても高くても目標の比率まで保有額を調節するのだ。
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