2015年は「肝試し相場」になる 総選挙後の株価の見方を教えよう

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彼らの行動方法から考えて、GPIFの買いが主導して作った株価は、株価の適正価値に関する判断と無縁に形成された株価なのである。

普通の金利がわからず、バブルでバブルをはかることに

そこで、本来なら、ストラテジストやアナリスト(あっ、経済評論家も仲間に入れて下さい!)の出番になるわけだが、株価評価の重要な要素である、金利をどう見ていいのかがわからない点が、次なる問題として前方に立ちふさがる。

例えば、金利が自然に形成されているものなら、短期金利ないし長期金利を「リスク・フリーレート」と決めて、適当なリスク・プレミアムを設定し、利益なり配当なりの成長率を想定して、適正と思える株価を算出することができる。

この方法に最初に困惑が訪れたのは、日銀がゼロ金利政策を導入して、短期金利がゼロになってしまった時だった。

この時には、ある程度長い期間のライアビリティを想定して、市場で形成される長期金利をリスク・フリーレートと考えて、これに対するリスク・プレミアムを想定することにした。「運用にはある程度の期間がある」という考え方は不自然ではないし、長期金利が市場で自由に形成されている間は、この方法が機能するように思えた。債券運用に対する株式運用の相対的有利・不利を考えると解釈することもできた。

しかし、日銀による長期国債の大量買いが始まると、例えば、10年国債利回り(12月2日で0.415%)に対して、株式に想定出来る収益率が適正であったとしても、10年国債に対する「相対的有利・不利」としては判断出来ても、10年国債の利回り自体が不自然に低いなら、少なくとも10年国債が普通の利回りに戻った場合には、株価は明らかに高過ぎる状況になる。

いくらか刺激的な表現を許してもらうなら、「バブルでバブルを測っている」可能性がある。似た例としては、日本の1980年代後半のバブル期に登場した「Qレシオ」に近い感じか。あれは、バブル化した地価でバブル化した株価を測り「株価はまだ安い!」という説明に使われたものだった。

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