本作はミステリーでは禁じ手と言われるような突拍子もないトリックや、唐突に新キャラクターが出てきて犯人でした、といったことにはならないので安心してほしい。あくまでも、犯人は登場人物の中にいる。このあたりの王道感と社会背景を取り込んだリアリズムが、本作を筆頭に、北欧ミステリードラマがイギリスで本国並みか、それ以上の人気を誇る理由であるかもしれない。
見終わって「やられた」
筆者はシーズン1は最終話まで、誰が犯人なのか確信が持てなかった。20話も「犯人は誰か」だけで引っ張り続けるとは、なんてすごいドラマなんだ! しかも犯人はあの人だったとは……。やられた、と見終わった後は虚脱感に襲われたほどである。これはシーズン2(全10話)、シーズン3(全10話)にも同じことが言える。
冬の長い夜や寒い休日に、良質のミステリー小説を読むかのように、『THE KILLING/キリング』は部屋にこもってイッキ見するには最適のシリーズだ。そして、刑事という仕事にすべてを捧げたルンドが、シリーズの最後でどんな結末を迎えるのかを、ぜひ見届けてほしいと思う。
舞台をシアトルに移したアメリカのリメイク版『キリング/26日間』は、初期設定は同じだが、途中からリメイク版独自の展開となる。シアトルの曇天と陰鬱な天気と土地の空気感は、オリジナル版に共通するものがあるが、所変われば……といった感じ。
また、スウェーデンとデンマークの両国にまたがる連続殺人事件を、2国の警察が合同で捜査する『THE BRIDGE/ブリッジ』は、アメリカとメキシコに舞台を移して『ザ・ブリッジ~国境に潜む闇~』としてリメイクされた。こちらは事件の大筋は同じだが、映像的にもかなり違った印象の作品となっている。
もしも『THE KILLING/キリング』が気に入り、北欧ミステリー・ドラマに興味を持ったなら、こちらもインパクトのある女性刑事が登場する『THE BRIDGE/ブリッジ』をお薦めする。
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