全3シーズンで2013年に完結した本作は、1シーズンごとに違う事件を扱っているが、シリーズを通して主人公は一貫して女性刑事サラ・ルンドである。女子高生殺人事件の解決に挑むシーズン1では、ルンドの狂気とも言える執念の捜査が20日間=全20話で描かれる。
舞台は、デンマークの首都コペンハーゲン。中心街から少し離れると、緑の多いのどかな風景が広がる。冒頭、真っ暗な森の中を必死で逃げ惑う若い女性の姿が映し出される。
シングルマザーの刑事が主人公
コペンハーゲン警察署、犯罪捜査部の刑事サラ・ルンド(ソフィー・グローベール)は、息子マークを育てるシングルマザー。スウェーデン人の婚約者ベングトの母国に移住するため、同署を退職するというその日に、ある知らせが入り、後任のイエン・マイヤ(ソーレン・マリン)とともに現場へ向かう。
ルンドは刑事の勘か、虫の知らせか、これはよくない事態に発展すると確信。案の定、19歳の高校生ナナ・ビルク・ラールセンの遺体が発見され、ルンドは移住を延期してマイヤを相棒に事件を捜査することになる。
残酷な殺人事件の衝撃は、さまざまな波紋を呼ぶ。ルンドは、ナナがかかわっていたコミュニティごとに疑惑の目を向けながら、複雑かつ意外な形で絡み合った事件の真相を暴いていく。
周囲の人間関係すべてが疑わしい
最初に疑われるのは、ナナの学校関係者だ。
ナナの親友リサ、元恋人オリバーとそのルームメイトも何か隠しているもよう。だが、善良で熱意ある教育者と思われていた、ナナの担任教師でアラブ系移民のラマに疑わしい点が浮上する。
そのラマは、コペンハーゲン市議会議員トロールス・ハートマン(ラールス・ミケルセン)による、移民政策の“ロールモデル”に選ばれている人物だった。ハートマンは、教育委員会委員長で、次期市長選の自由党の候補として注目を集めている政治家のひとり。実はハートマンは、別の形でもナナとつながりがあることがわかり、事件は政界をも巻き込む様相を呈していく。
そのハートマンの政治顧問で恋人のリー、キャンペーン・マネジャーのウェーバーは、身内だが何かひと含みある感じ。対して、現市長ブレーマーとその側近、極右党党首ホルク、市の職員ウーラブといったライバルとなる勢力は、虎視眈々とハートマンの失脚を狙っているようで腹黒そうだ。
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