マクロ政策は手詰まり、長期視野の制度改革を

マクロ政策は手詰まり、長期視野の制度改革を

米国FRB(連邦準備制度理事会)が11月3日のFOMC(連邦公開市場委員会)で追加の金融緩和を発表した。2011年6月末までの6000億ドル(約48兆円)の国債買い取り上乗せという大規模な量的緩和で、QE2と呼ばれる。8月末から投機筋はドル安を織り込んできたため、発表後はむしろ、急なドル安進行は一服した。

構造的に当面はドル安

G20(先進20カ国)やAPEC(アジア太平洋経済協力会議)の財務相会合・首脳会合が相次ぐなかで、米国は通貨安競争をしている、との批判にさらされた。円高に敏感な日本でも、「通貨安競争」として語られがち。だが、米国は通貨発行によるドルの信認下落を狙っているわけではない。自国通貨安を目的にした政策で批判されるべきは、元売りドル買い介入で相場を維持している中国だ。

ガイトナー米財務長官は、批判に対し「強いドルは米国にとり重要」「基軸通貨国としての特別の責任がある」と回答した。これは本心だろう。もともと、基軸通貨としてのドルは米国の国際収支の赤字によって供給されてきたが、国際収支が悪くなりすぎればドルの信認が揺らぐ(トリフィンのジレンマ)という問題を抱える。米国はしばしば強いドルへの修正を図ってきている。

FRBは物価の安定と雇用の最大化の二つの使命を負う。バーナンキ議長は「失業率は高すぎ、インフレ率はあまりに低すぎる」として、日本型デフレ、景気二番底に陥るリスクを回避することに必死だ。

現在のドル安は結果にすぎず、バーナンキ議長が本来目的とするのは、「株価の押し上げにより家計のバランスシート調整を支援すること」と「長めの金利の引き下げでインフレ期待を高めること」だ。米国はこれからクリスマス商戦のシーズン。「資産価格と家計の消費との相関関係が高まる時期」(みずほ証券・上野泰也チーフマーケットエコノミスト)なのだ。実際、株価は狙いどおり上昇している。

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