マクロ政策は手詰まり、長期視野の制度改革を

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 さらに“基金”における長期国債の購入が「銀行券ルール」(長期国債の保有残高を日銀券の発行残高以下にとどめるルール)の別枠となったことで、将来に不気味な可能性をはらんでいる。消費税増税の議論もまともに進まず、先進国中最悪の財政を再建する道筋が見えない中、市場がマネタイゼーションと見れば、金利が跳ね上がり、国債の消化に支障を来たすリスクがある。

米国はバブル崩壊後のバランスシート調整に直面している。これには時間がかかり、金融政策は緩和的な状況が続く。また、米国は経常赤字国、純債務国であり、国際的な不均衡の是正という意味で、ドル高からドル安への修正は当然の帰結だ。金融緩和競争に追随して、円高修正を図ろうとしても効果がない。

構造・制度の再構築を

国会では、尖閣問題、小沢問題が長引き、補正予算の審議が立ち往生している。だが、そもそも補正予算は必要なのか。10年度前半まで、日本経済は政策効果と企業努力によって、リーマンショック後の急激な落ち込みから回復してきた。円高や政策効果の息切れを問題視する政治家が多いが、そもそもエコカー補助金や減税、エコポイントなどは需要の先食いにすぎず、落ち込みは織り込み済みだったはず。

BNPパリバ証券の河野龍太郎チーフエコノミストは「政府の追加財政は不要な景気の振幅を作り出している。09年第2四半期から10年第2四半期までの5四半期の成長率は年平均3・8%。エコカー補助金による自動車販売の押し上げ効果がなくても、年平均成長率は3%程度にはなった。3%でも十分だし、補助金がなければ、その後のマイナスを懸念する必要もなかった」とする。

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