マクロ政策は手詰まり、長期視野の制度改革を

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 ただQE2の実質GDP(国内総生産)成長率の押し上げ効果については、多くのエコノミストが懐疑的。ほとんどないとする見方からせいぜい0・5%程度というのが一般的だ。

効果よりも副作用のほうが大きいとの批判はFRB内からも噴出している。とりわけ、来年1月にFOMC投票メンバーとなるフィッシャー・ダラス連銀総裁は「今後8カ月間、中央銀行が連邦債務をマネタイズ(札を刷って貨幣化)する。これは危険なビジネスだ」と手厳しい。

ウォーシュFRB理事も「FED(FRB)は最後の貸し手であって、破綻した財政・貿易・規制政策の修理工場ではない。追加策は成長促進策の貧弱な代替品でしかない」とする。バーナンキ議長は、FOMCの翌日にはワシントン・ポストに寄稿、翌週も反論に追われている。

こうした動きを見ると、「金融緩和のフロントランナー」(白川方明総裁)である日本銀行は2方向のリスクにさらされている、と感じる。

一つは、米国がデフレ・二番底回避に成功し、短期的には自信を強め、FRBが出口を語り出し、日本が乗り遅れるリスクだ。

もう一つは、米国で雇用の改善が進まず、オバマ大統領が共和党から財政政策の手を封じられる中で、バーナンキ議長が、“ヘリコプター・ベン”の面目を発揮し、量的緩和を拡大すること。この場合、円高懸念が高まり、日銀には政府から圧力がかかる。すでに白川総裁も国会で、「包括緩和」で動き出した35兆円の基金の拡大の可能性に言及し、緩和競争が拡大する公算が大きい。

日米の過剰流動性が新興国バブルを助長し、資源価格の高騰を招く悪いインフレの芽も出ている。

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