加藤:心根という話でいうと、ご質問者の方は「5分は短い」と思っているわけだよね。逆に5分は結構長いという捉え方もあると思うけれど、そこはどうですか?
角田:5分はちょうどいいんじゃないですか。10分だと、込み入った話を聞くのでなければ長いな。10分聞く前提なら、「じゃあ大学時代のサークルではどんなことがあったの?」ということを3、4分聞きたくなるけど、べつに面接で聞かなくてもいいと思うな。
加藤:面接の主導権って質問者のほうにあるように普通は思えるけど、面接を受ける側からすると、どうしたら、その5分の間で会話の主導権・面接の主導権を持つことができるかな?
角田:相手が「ほう、それで?」と聞きたくなるような回答をするってことかな。質問されたことに答えて、質問者に「え?それはどういうこと」みたいに聞かせることができたら勝ちだよね。
それはできなくもないと思うけれど、質問者の方のような21歳の就活生が、僕らみたいな4、50歳のいい大人を「ほう、それで?」とさせるテクニックって必要かな?とはちょっと思うな。
加藤:面接テクニックみたいなことではなくて、20年生きていたら、それぞれの人生の中で「そこをもっと聞かせてよ」というものがあるわけじゃないですか。それをちゃんと取り出せるといいよね。だから……面接官は「エピソード」を聞こうとするのかな?
角田:僕が面接をやる時に一番見ているのは、その人の「深さと浅さ」かな。そのためには、「薄い」話ではなくて、「濃い」話をしてもらわないとだめなんだ。
加藤:深さと浅さというのはなんとなくわかるけど、話の濃い・薄いというのは、どうやって聞くんですか?
角田:例えば、同じ合コンの話をするのでも、「今回は本命じゃなくて、次回の○○の職種の合コンが本命なんですよ」みたいな話は、浅いだけでなくて、薄い。「おじさんはこうだよね」「最近の若い人たちはこうだよね」みたいなステレオタイプ、固定観念で話しているだけだから、話として薄いんだよ。
加藤:そうすると、合コンで「濃い話」というのはどういうもの?
角田:自分がその合コンで成功したか失敗したか、まずはエピソードトークをしたうえで、自分が「感じたこと」を言うってことだと思う。「自分は今まで合コンでパスタを取り分けたことがなかったんだけど、隣の奴が取り分けていたらすごくモテてたんですよ。取り分け方で違うんだな、って思いました」みたいなことかな。
同じ「パスタを取り分ける」でも、「マニュアル本に書いてあったから」みたいなトークをされると、やっぱり「あれ?自分のことを話してよ」って思ってしまうな。
加藤:あー、なるほどね。『仕事人生あんちょこ辞典』の「履歴書」の項でも、「whatではなくてhowを語ろうよ」という話をしたけれど、それと同じだよね。そのパスタのさ、「取り分け方」をどう語るかに、人となりが出るんだね。
自分の人間性を10割伝えることは難しいかもしれないけれど、8割5分伝わるような言い方なり方法はあると思うから、OB・OG訪問をある種、予行演習的に、いろいろ試す場として使えるといいんじゃないかしら。
「話を膨らませる力」も大事だ
角田:僕がもし面接官をやるとすると、あえて漠然とした質問をしてみて、それにどう答えるか、ということじゃないかなと最近は思っているんだ。