Netflixと元テレ東「佐久間P」が組んだ納得理由 お笑いとドラマで勝負「トークサバイバー!」

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『ゴッドタン』『あちこちオードリー』など数々のバラエティ番組を手掛け、現在は独立系のプロデューサーとして多方面で活躍する佐久間氏ですが、20数年のキャリアの中でもチャレンジング企画であったことを認めています。

狩野英孝(写真右から3番目)ら人選のセンスの良さもこの番組の肝にある(写真:Netflix)

独立直後にNetflixからオファー

Netflixオリジナルと言えば、ドラマのイメージが強いなかで、日本発のオリジナルでバラエティ番組はこれが初。幅広いジャンルを揃える新たなコンテンツ方針を打ち出しているなかで生まれた番組であり、Netflixにとってもチャレンジングだったのです。聞けば、双方想いが一致した様子。佐久間氏がちょうど1年前、テレビ東京を退社した直後にNetflixからオファーを受けたと言います。すぐさま佐久間氏がNetflixに提案したバラエティ企画8本のうちの1本が『トークサバイバー!』でした。

「普通にネット上でもバラエティのお笑いコンテンツが増えているなかで、この企画は違うものにしたかった。何をやったらワクワクするのかを考えて、ドラマの中にトークがあって、そのトークをめちゃくちゃ面白くするためにドラマをマジで撮った。ただし、その分、予算も掛かります。8話分、芸人を拘束して撮る必要もある。いろいろな費用が嵩む企画なわけですが、Netflixにやりたいことを話したら、それが面白いものに繋がるならとOKをもらい、クリエイター・ファーストを感じました。面白くするためにNetflixからアイデアを出していただくこともあった。発注されて作ったというより、一緒に作ったという企画でした」

撮影現場の裏で「地獄のような会議があった」と語る企画・プロデュースした佐久間宣行氏(写真:Netflix)

今や誰もが認める日本を代表するトップクリエイターの1人ですが、多くの業界人から羨ましく思われるような話です。予算を切り詰め、短期間で結果を求められがちな日本の制作環境の中で夢を与える話でもあります。

少々持ち上げ過ぎましたが、文句なしの面白さゆえのこと。初週に続いて2週目もNetflixの視聴ランキング「今日の総合トップ10(日本)」で1位を獲得する結果も出しています。なお、初週の結果が発表された3月15日時点の世界の視聴ランキング「グローバルトップ10」には届かず。そもそも世界配信を無理に意識していない番組です。たとえ日本人にしかわからないようなエピソードであっても、心底くだらなくても、面白さを徹底的に追求しているのは見れば伝わってくるはず。

ドラマパートも伏線回収ににんまりできます。こういう適度なエンタメを欲していた。そんな声が聞こえてくる視聴者ファーストの番組でもあります。

長谷川 朋子 コラムニスト

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はせがわ ともこ / Tomoko Hasegawa

メディア/テレビ業界ジャーナリスト。国内外のドラマ、バラエティ、ドキュメンタリー番組制作事情をテーマに、テレビビジネスの仕組みについて独自の視点で解説した執筆記事多数。最も得意とする分野は番組コンテンツの海外流通ビジネス。フランス・カンヌで開催される世界最大規模の映像コンテンツ見本市MIP現地取材を約10年にわたって重ね、日本人ジャーナリストとしてはこの分野におけるオーソリティとして活動。業界で権威ある「ATP賞テレビグランプリ」の「総務大臣賞」の審査員や、業界セミナー講師、札幌市による行政支援プロジェクトのファシリテーターなども務める。著書は「Netflix戦略と流儀」(中公新書ラクレ)。

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