日本では劇場公開の『コーダ あいのうた』
日本時間3月28日にアメリカ・ロサンゼルスで発表された世界最高峰の映画の祭典「第94回アカデミー賞」の主役はそれぞれの立場によって異なる見え方になりました。日本人にとっては13年ぶりの快挙となった濱口竜介監督作品『ドライブ・マイ・カー』の国際長編映画賞受賞であり、『ドリームプラン』で主演男優賞を受賞したウィル・スミスの授賞式ハプニングが気になった人も多かったのかもしれません。ここでは、作品賞を受賞したアップル映画『コーダ あいのうた』や監督賞を受賞したNetflix映画『パワー・オブ・ザ・ドッグ』の配信系スタジオを巡り、変化する映画ビジネスを深読みしていきます。
この通称「オスカー」と言われるアカデミー賞は、映画界ならびに映画ファンが最も注目する映画賞です。今年94回を数えたこのアカデミー賞で配信サービス初の作品賞を受賞したことも話題の1つです。全23部門ある1つひとつの賞に価値がありますが、なかでも作品賞は最も価値あるもの。その作品賞で開始から3年足らずのアップルの配信サービス「Apple TV+」の映画として『コーダ あいのうた』が受賞し、100年の歴史がある映画界、オスカー94回の中で節目の出来事となりました。
そもそも受賞した『コーダ あいのうた』はどんな作品かというと、聴覚障害者の家族の中で唯一の健聴者である少女が「歌うこと」を通じて、家族に新たな夢を与える話です。2014年のフランス映画『エール!』をリメイクしたもので、脚本も手掛けたシアン・ヘダー監督は今回のオスカーで脚色賞も獲得しました。また父親役を演じ、自身も聴覚に障害があるトロイ・コッツァーは助演男優賞を受賞し、作品全体でノミネートされていた3部門すべてを制覇する強さを見せつけました。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら