アカデミー賞受賞は確実「ある日本映画」の凄み 「ドライブ・マイ・カー」複数受賞も夢ではない

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今作の「アカデミー賞受賞」は約束されたようなものだ(写真:「ドライブ・マイ・カー」公式サイトより)

アカデミー賞受賞はほぼ確実

『ドライブ・マイ・カー』のオスカー候補入りが、日本でもアメリカでも話題になっている。日米でアワードキャンペーンをほとんど行わなかった上映時間3時間、字幕付きの日本映画が、国際長編映画部門以外にも3部門で候補入りしたのは異例のことだ。

しかも、その3部門は「作品賞」「監督賞」「脚色賞」という主要部門。ノミネートの枠は、作品賞が10枠、監督賞・脚色賞は5枠しかないのに、そこに選ばれたのは快挙である。

濱口竜介監督は、おそらく手ぶらで日本に帰ることはない。今作は、「国際長編映画部門」の受賞が確実だからだ。

かつて外国語映画部門と呼ばれたこの部門に候補入りしているのは、今作以外だと、デンマークの『Flee』、イタリアの『The Hand of God』、ブータンの『ブータン 山の教室』、ノルウェーの『The Worst Person in the World』の4作。

『Flee』は全部で3部門、『The Worst Person in the World』も2部門に候補入りするなど健闘はしている。しかし、『ドライブ・マイ・カー』はこれまでに発表された多くのアワードの外国語映画部門を制覇しており、断トツで有利と言っても過言ではない。

過去に作品部門にも食い込んだ『愛、アムール』『ROMA/ローマ』『パラサイト 半地下の家族』などの外国語映画は、国際長編部門を必ず抑えてきた。

言葉の壁や「作品賞は、やはり英語の映画であるべき」という古い価値観を乗り越え、作品部門に食い込んでみせただけでも、アカデミー賞の投票者を説得するには十分。「作品部門には投票できないけど、国際長編映画部門なら入れてあげる」と考える投票者もいるだろう。

来るべき2022年3月28日。受賞すれば、日本映画としては『おくりびと』以来の13年ぶりの快挙。とてもめでたいことだ。しかし、せっかく高評価ならほかの部門でも受賞してほしい、と欲が出てしまうもの。その可能性はいかほどか。

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