社長が変わらないとジョブ型・DXが成功しない訳 見逃したパワハラが個人ライフシフトを妨げる

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その後スタンフォード大学に留学して、スティーブ・ジョブズが初代マッキントッシュを売り出すときのプレゼンを目にして、34万人が働いている巨大独占企業で40年働くなんて、ちょっと違うんじゃないか、と思い直し、会社を飛び出しました。

『ライフ・シフト』が与えてくれた気づき

留学して会社を辞めるなんて、事務系の社員ではいなかったと記憶していますし、安定した職を捨てたことで脱藩者などとも言われましたが、冷静になって考えると、企業に取り込まれて、企業のリスクと自分のリスクを切り離せないというシステムリスクを背負わなくてよかったなと思います。

『ライフ・シフト』を読んで、自分の中ではメンタル・シフトをしてもらったな、と思っています。100歳まで生きるかも、などということは考えたことがなかったですから。60歳の時に、人生はあと20年と思うか、あと40年と思うかは、劇的に違うと思います。

もちろん、自分が100年生きる保証はないのですが、まだ人生の途中なんだなという気づきを得られました。

サラリーマンからスタートして独立し、経営にも関わり、大学で教える傍ら、NPOや行政関連の社会活動にも関わっていて、なぜそんなことができるのか、と聞かれることもありますが、明確な答えはないですね。「そうやって人生を生きてきたから」というのが理由かと思います。

自分がやってきたことを振り返ってみると、他の人と違うことをしているイノベーティブな人、あるいはアーリーアダプターとして活動している人が、わずかながら、一定数はいたと思います。

自分がそうした先駆者ではなかったとしても、その時の基準で「変なこと」をしている人に関心を持って、そうした人たちのフォロワーになることが重要かと思います。そうしたフォロワーの集団が出来上がると、ムーブメントが起きて、集団のストーリーも変わっていくのではないでしょうか。

偉大なひとりのリーダーの出現を待つのではなく、自分たちが築きたい未来を「見える化」したステキなビジョンの周りに集まり、賢明な集団を形成していく。それを僕は自律衆知型フォロワーシップ(自分たちが生命体のように動け、智慧を出し合える賢い集団)と呼んでいます。静岡市で目指しているのも、そういうムーブメントなんです。

そうした発想や活動が広がっていけば、人も社会もシフトしやすくなっていくのではないかと思います。

梅本 龍夫 立教大学大学院21世紀社会デザイン研究科客員教授

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うめもと たつお / Tatsuo Umemoto

1956年東京生まれ。慶應義塾大学経済学部卒業。電電公社(現NTT)に入社後、スタンフォード大学ビジネススクール修了。ベイン・アンド・カンパニー、シュローダーPTVパートナーズを経て、サザビー(現サザビーリーグ)取締役経営企画室長。同社の第二創業を推進。同社合弁事業スターバックスコーヒージャパン立上げ総責任者。2005年に同社退任、アイグラム創業。物語を基軸とした新しい経営コンサルティングを開始。著書に『日本スターバックス物語──はじめて明かされる個性派集団の挑戦』。

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