有名なブランド大学を卒業して企業に入るとやっぱり出世するのか。それともそうでもないのか。第1弾として上場企業役員数がトップの「『慶応卒が出世している』200社」、第2弾は「たまたま?早稲田大学卒の役員が多い150社」をお伝えした。
有名企業に役員を多く輩出している大学で慶応、早稲田に続いて3~4位に入るのが東京大学と京都大学。東大は言わずと知れた日本の最高学府であり、京大もそれに負けず劣らず。西日本には東大に進める学力があっても、あえて京大を目指すという天才、秀才も少なくない。いずれも国立大学の超名門校だ。
大学院卒で出世しているのが目立つ
現在、在籍している学生数でいえば慶応3万3000人弱、早稲田約5万3000人に対して、東大は約2万8000人、京大2万2000人程度。東大、京大は私立のトップ2校よりも絶対数が劣る割には、有名企業で役員まで順調に出世している卒業生が少なくないということだろう。大学院卒で出世しているのが目立つのも、東大、京大卒の特徴といえる。
東大、京大ともに役員数が多い会社を見ると、鉄道や通信、銀行、海運、電力、ガス、メーカーなど伝統的で公共性の強い企業が目立つ。東大は日本の最高学府だからなのか、有名企業であっても学閥をつくる傾向が役員数1位の慶応、2位の早稲田よりも強い。たとえば役員の5割以上が東大卒の会社は14社。これは慶応卒だと同7社、早稲田卒は同4社にとどまる。
1位の東海旅客鉄道(JR東海)は7割近い役員が東大卒。葛西敬之名誉会長、山田佳臣会長は東大法学部卒。柘植康英社長は東大経済学部卒だ。2位のNTT都市開発をみると、牧貞夫社長が東大経済学部卒、西村善治副社長が東大工学部卒など、経営トップに東大卒がずらりと並ぶ。
京大卒で役員に出世しているのは、北陸、近畿、四国など西日本における名門企業が多い。一方で、「東大は時代の趨勢に飲まれやすい側面がある」と大学事情に詳しいジャーナリストの國貞文隆氏は指摘する。リーマンショック直前には外資系金融機関を志望する東大生の姿が目立ったし、最近ではベンチャーを目指したり、場合によって自ら会社を立ち上げてしまうような東大卒生が、メディアに取り上げられたりしている。一方、「京大卒は保守的な傾向がある」(國貞氏)という。
なお当データは、小社刊『役員四季報2015年版』を基に集計している。役員四季報では東証1部などに株式を公開する約3600社へのアンケートを実施しているが、そのうち、在籍役員の最終学歴をすべて回答したのが1510社(原則7月時点)を対象。 調査対象とした東大卒者(大学院卒含む)は2割以上、京大卒者(同)は15%を占める約250社を比率の高い順にランキングした。