特定の大学を卒業した役員の比率が高い会社はどこか? 第1弾としては、上場企業役員数トップの「『慶応卒が出世している』200社」をお伝えした。
2位は、早稲田大学。早稲田と慶応は、言わずと知れた私立大学の両雄。在籍数は早稲田が約5万3000人に対して、慶応は3万3000人弱。圧倒的に早稲田のほうが多いが、上場企業の役員数でいえば慶応の後塵を拝している。
慶応は創業家の血筋を引く2世、3世が多く通っているが、「かつての激しい学生運動の名残りもあり、師弟を早稲田には通わせたくないと思う経営者が多かったことも影響している」(大学事情に詳しいジャーナリストの國貞文隆氏)。
とはいえ異色なのがマスコミ関係。出版社には、"御曹司系"も早稲田に進学することが多く、角川グループの角川歴彦氏、新潮社の佐藤亮一氏(故人)などは、いずれも早稲田卒だ。
出世する職種に特徴はあるのだろうか。「銀行、商社、損保など大手のブランド企業に偏りやすい慶応と比べて、早稲田の場合は多くの業種に卒業生が散らばっているのが特徴。ブランド企業ではなく、地味なシブい会社が多い」(國貞氏)。
地方企業が多いのも特徴だ。9位の千葉銀行(37.5%)、17位の常磐興産、山梨中央銀行、名古屋鉄道(36.4%)など地方企業でありながら、早稲田出身者が役員の3割以上を占めているケースが見受けられる。
「早稲田出身者は慶応卒に比べて学閥をあまりつくらない」という声も少なくない。慶応OBが集まる「三田会」の現会長が医師の比企能樹氏なのに対して、早稲田大学校友会の代表幹事を務めるのは自動車部品メーカー、エフテックの福田秋秀会長だ。
デフレ時代は早稲田に逆風?
最近では慶応卒の起業家も目立つようになってきたが、早稲田は多くの起業家を輩出してきたことでも知られる。堤康次郎、井深大、大川功、西和彦など次代を切り開く、常識にとらわれないキャラクターが多い。
「数ある大学の中でも、慶応だけが特殊。慶応の卒業生は、お互いに綿密に連絡を取り合い、仕事の融通などもするため、デフレ不況期であっても強かった。それに対し、早稲田卒は一匹狼が多く、派手な成功をすることもあれば、派手な失敗をすることもある」(國貞氏)。