「推しのいる人生」が幸せである予防医学的な根拠 推しは人生にウェルビーイングをくれる存在だ

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「推し」を持つことは、人生に多大なウェルビーイング(幸福)を与えると、予防医学者の石川善樹氏は説きます(写真:recep-bg/GettyImages)
幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態を指す「ウェルビーイング」という言葉。持続可能な社会を目指すうえで重要となりつつあるキーワードですが、難解でとっつきにくいイメージを持つ人も少なくないでしょう。
しかし、「推しを持つこと」で、ウェルビーイングな状態になることができるようです。
気鋭の予防医学研究者・石川善樹氏と、人気アナウンサー吉田尚記氏の共著『むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ』から抜粋・再構成して紹介します。(前々回の記事はこちら。前回の記事はこちら

推している間は「自分の価値」を示さなくていい

今は、「何をするか、何者になるのか」が過剰に求められる時代ともいえます。

子どもの頃から「将来は何になる?」とずっと聞かれ続け、大人になると「あなたは何をしているのか?」と問われ続ける。そんなしんどさを、多くの人が無意識のうちに感じているのではないでしょうか。

けれども、「推し」ができれば、そこに向き合っている間は自らの価値を行動で示す必要がなくなります。何も持たない素の自分でいていいと思える。ゼロの状態で心をほどいていられる。この心境は非常にウェルビーイングといえるでしょう。

その対象がスポーツチームの人もいれば、特定のブランドになる人もいるでしょう。応援するチームが連敗続きでも、ずっと変わらずに熱狂的なファンであり続ける。Appleの新製品が発売されたら無条件で手に入れる、いわゆるApple信者のような人たちも同様です。

一方で、アイドルの「推し」を持つ人が多いのは、「歌」と「踊り」という身体感覚に基づくウェルビーイングの原型をアイドルのパフォーマンスが有しているから、という理由も考えられます。

ある部族が外から来た人を受け入れる際に、歌って踊る儀式を行うことは世界中に共通して見られる傾向です。言語が通じなくても、歌って踊る姿を相手に見せることは、「あなたに敵意はない」という姿勢の表明になります。

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