不幸な社員を生み出す会社の致命的な勘違い 「無関心」と「想像力の欠如」が不信感を増幅する
現実とのギャップが大きすぎると社員は「シラケる」
社員の幸せと組織パフォーマンスの関連は多くの研究で取り上げられています。例えばユタ大学のテニー氏らによる2016年の論文では、社員の「主観的ウェルビーイング(心身の健康と幸せ)」が組織に好影響をもたらすことを明らかにしました。
「ウェルビーイング(well-being)」とは、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあることを意味しており、「幸福」と翻訳されることもあります。社員が自身の健康状態が良好で幸福だと感じることが、健康増進はもちろんのこと、欠勤の減少、自制心の上昇、モチベーションの上昇、創造性の増加、良い人間関係、離職の減少など好影響をもたらし、それらの結果として、組織・個人の良いパフォーマンスにつながるのだろう、と論文の中で結論付けられています。
社員の幸福が組織活性化につながることは確かでしょう。しかし、組織として社員幸福度を追求する施策に取り組めば、離職や欠勤、モチベーション低下などの組織課題が本当に改善するのでしょうか。
答えはNOだと私は考えています。今の時点で「幸せではない」状態なら、必ずマイナス感情が蓄積しています。そこで幸せ追求をはじめても、現実とのギャップが大きすぎるため社員はかえって「シラケる」という現象が起こります。「今の状況で幸せなんてとても想像できないのに、会社は何を言っているんだ」という状態です。
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