「にほん昔話」から幸せの秘訣を見いだせる理由 人間の弱さや嫌な部分をあるがままに肯定する
ウェルビーイングの研究を進めていく中で私は、数年前に絶好の素材にめぐり逢いました。それが『まんが日本昔ばなし』です。
日本各地に伝わる昔話を映像化したこの国民的名作アニメは、1975年にテレビ放送が始まり、以来、再放送や特番などさまざまな形で放送されてきました。
『まんが日本昔ばなし』を毎晩見続けてわかったこと
私が『まんが日本昔ばなし』を毎晩見る生活に突入してから数年が経ちます。
これまでに数百話を見てきてまず気づいたのは、おじいさんとおばあさんが多数登場する点です。しかも彼らには名前がない。「かぐや姫」「桃太郎」のように名前がある主人公も登場しますが、おじいさんとおばあさんは徹底して無名の存在として描かれます。実は主人公ですら名前がついてない話も意外と多い。
「誰もが知っているあの人」ではなく、「誰も知らないとなりの人」=Nobоdyの話を日本人はずっと語り継いできた。それがはっきりと浮かび上がってきます。
次に気づいたのは主人公が成長しないこと。多くの登場人物は成長も変化もせず、欲深いおじいさんは欲深いままで終わる。だから救いがない悲惨な話も多数あります。