「にほん昔話」から幸せの秘訣を見いだせる理由 人間の弱さや嫌な部分をあるがままに肯定する

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2022年必須のテーマ「ウェルビーイング」は、あの「まんが日本昔ばなし」に描かれている(写真:miya227/GettyImages)
幸福で肉体的、精神的、社会的すべてにおいて満たされた状態を指す「ウェルビーイング」という言葉。持続可能な社会を目指すうえで重要となりつつあるキーワードですが、難解でとっつきにくいイメージを持つ人も少なくないでしょう。
しかし、実はその本質に迫るカギは、昔話をはじめとした古事記、アイドル、和歌などの日本文化に隠されていたとしたらどう思うでしょうか。
気鋭の予防医学研究者・石川善樹氏と、人気アナウンサー吉田尚記氏の共著『むかしむかし あるところにウェルビーイングがありました 日本文化から読み解く幸せのカタチ』から抜粋・再構成して紹介します。

ウェルビーイングの研究を進めていく中で私は、数年前に絶好の素材にめぐり逢いました。それが『まんが日本昔ばなし』です。

日本各地に伝わる昔話を映像化したこの国民的名作アニメは、1975年にテレビ放送が始まり、以来、再放送や特番などさまざまな形で放送されてきました。

『まんが日本昔ばなし』を毎晩見続けてわかったこと

私が『まんが日本昔ばなし』を毎晩見る生活に突入してから数年が経ちます。

これまでに数百話を見てきてまず気づいたのは、おじいさんとおばあさんが多数登場する点です。しかも彼らには名前がない。「かぐや姫」「桃太郎」のように名前がある主人公も登場しますが、おじいさんとおばあさんは徹底して無名の存在として描かれます。実は主人公ですら名前がついてない話も意外と多い。

「誰もが知っているあの人」ではなく、「誰も知らないとなりの人」=Nobоdyの話を日本人はずっと語り継いできた。それがはっきりと浮かび上がってきます。

次に気づいたのは主人公が成長しないこと。多くの登場人物は成長も変化もせず、欲深いおじいさんは欲深いままで終わる。だから救いがない悲惨な話も多数あります。

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