「長すぎる老後」に私たちはいかに稼げばいいのか 「高齢者」でなく「戦力」として評価されるか

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牧野:やはり準備が大切です。私は45歳で会社を辞めたのですが、辞めてみて、自分の実力がいかに低いかを実感しました(笑)。会社での実力と、社会で評価される実力はまったく違います。大企業を離れた社員によく見られることですが、会社の格を表す名刺と、課長や部長など会社での肩書という表示を失った瞬間、孤独な自分を発見すると言われます。リカレント教育がいかに大切であるかがわかります。

ライフプランと老後資金 

河合:50代半ばとなって、「定年退職まであと〇年」と指折り数えられるようになると、老後資金への不安が具体化してくるものです。「公的年金だけでは老後資金が2000万円足りない」「いや、本当は5000万円不足する」など、メディアがあれこれ報じたこともあって、他人の年金受給額や貯蓄額が気になっている人も多いのではないでしょうか。しかし、定年退職後にも学費のかかる子供がいるのか、自宅を保有しているのか、家賃を払い続けなければならないのか、など個々人が抱える事情は大きく異なるわけですから、「いくら貯蓄があれば大丈夫」とは一概に言い切ることはできません。

『2030年の東京』(祥伝社新書)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

牧野:同感です。ファイナンシャルプランナーの方ともよく話をするのですが、各人の置かれている状況によって千差万別だそうです。金融庁の「2000万円問題」は「もっと資金を運用していきましょう」といった趣旨での例示であったと聞きます。それが「老後には2000万円が必要」と曲解されてしまったのです。

河合:老後の資金を考えるうえで大きく影響を受ける要素に、親の介護問題があります。これまでの高齢者は、自分の老後のことだけを考えて老後の資金繰りをしていればよかったわけですが、2030年代の高齢者はそうはいきません。自分が70歳になっても、親が存命中という人は珍しくなくなります。他方、公的介護保険サービスは削られるいっぽうです。

牧野:老後資金が足りない場合の対処など、まだまだ話し足りないのですが、文字数の制約があり、記事はここで終了とさせていただきます。厳しい未来に対する処方箋はあります。

河合 雅司 作家、ジャーナリスト

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かわい まさし / Masashi Kawai

1963年名古屋市生まれ。中央大学卒業後、産経新聞社入社。同社論説委員などを歴任後、一般社団法人人口減少対策総合研究所理事長。高知大学客員教授、大正大学客員教授、産経新聞社客員論説委員、厚労省ほか政府の有識者会議委員も務める。「ファイザー医学記事賞」大賞ほか受賞多数。主な著書に『未来の年表』(講談社現代新書)、『日本の少子化 百年の迷走』(新潮選書)、『コロナ後を生きる逆転戦略』『世界100年カレンダー』。2021年6月に『未来のドリル』(講談社現代新書)を刊行。

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牧野 知弘 不動産事業プロデューサー

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まきの ともひろ / Tomohiro Makino

1959年生まれ。東京大学経済学部卒。ボストンコンサルティンググループなどを経て三井不動産に勤務。J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在はオラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産プロデュース業を展開。また全国渡り鳥生活倶楽部株式会社を設立。代表取締役を兼務。著書に『不動産の未来』『負動産地獄』『空き家問題』『2030年の東京』(河合雅司氏との共著)など。

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