結婚とは変化を楽しむことだと思う。相手とは基本的な価値観は似ていたほうがいいけれど、元々は赤の他人であるから性格や習慣は違って当たり前だ。そして、それぞれの住み慣れた場所も一致するほうが難しい。
本連載で取材した夫婦の中でも、隣接する自治体内にお互いの実家があるのに「将来的にどちらの家の近くに住むのか。もしくは両親を駅前に呼び寄せるか」が懸案になり続けている人たちがいた。
どうせ変化するのであれば、結婚するために居住範囲を変えてみるという手もある。首都圏から九州の田園地帯に移住をして農家の長男と結婚したケースなどが最たる例だ。今までの生活を守っていたら何らかの理由で結婚できないのだと悟り、地元からあえて離れるなどの思い切った変化を自らに課して幸せをつかみ取った。
お相手には2度の離婚歴が
逆に、刺激的だった都会生活から「何もない」地元に戻ることによって良き縁を得た女性がいる。太平洋側の海沿いの町で暮らしている藤原明代さん(仮名、40歳)だ。高校を卒業してからの10年間は大阪で美容師として働き、老いてきた両親の世話もするために帰郷。ボランティア活動を通して自分とはまったく異なる自由人タイプの孝雄さん(仮名、49歳)と出会った。
2度の離婚歴がある孝雄さんには現在12歳になる娘がいる。5年前に結婚した明代さんはいわゆる継母だ。そして、孝雄さんと明代さんの間にも次々と子どもができ、今は3人目が明代さんのお腹の中にいる。
「僕は結婚したいわけではありませんでした。世間体的にハンディキャップがある人間だからです。明代は『それでもいいから結婚したい』とはっきり意思表示をしてくれました。そう言われたら男としてけじめをつけなければいけません。
僕は1回目も2回目も相手を信頼して結婚し、別れざるをえないことになってしまいました。だから、絶対大丈夫なことはないと思っています。でも、明代は自分で問題解決ができる人ですし、大きくなっていく長女にとっても身近な大人の女性の存在が必要だと思いました」
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