「人気キャラクター名に改名した男」の自由な人生 彼と婚活で出会い結婚を決断した妻の「視点」

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婚活で出会った男性が「キャラクター名」に本名を改名していたらーー?(イラスト:堀江篤史)

性格は正反対でもいいけれど価値観は似ていたほうがいい――。婚活の現場でよく聞くアドバイスである。ただし、仕事や生活、人間関係などのすべての価値観が一致する人を探すのは難しい。

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価値観がすべて似ていて、異性としても好みで、自分の生活は何も変えずに済む相手を選びたい。こんな姿勢でいるから婚活をしてもうまくいかなかったり、結婚しても失敗に終わったりするのだ。手痛い離婚経験がある筆者はつくづく実感している。

必要なのは適度な「自信喪失」だと思う。「私は相手を選べる立場ではない。こんな私でもいいと言ってくれる人がいたら嬉しい」という心境は、自分がどうしても譲れない価値観だけを浮かび上がらせる。そして、その他のことには目をつむれるようになり、想定外の良きパートナーと巡り合えたりする。

マッチングアプリで出会った2人

東京郊外にある国道沿いの喫茶店でインタビューに応じてくれた小山美香さん(仮名、49歳)は、謙虚なスタンスで笑いの多い家庭を手に入れた。化粧は薄めで髪型はセミロング、さっぱりした雰囲気で、大きく自然な笑顔が魅力的な女性だ。

隣に座っているメガネ姿の俊明さん(仮名、47歳)はキャップをかぶったままニコニコしている。ちょっと変わった雰囲気の旦那さんである。

美香さんと俊明さんは2019年の夏にマッチングアプリで出会い、2カ月後には婚約し、その4カ月後には結婚式を挙げている。コロナ禍に突入する直前だった。

「父も母もその年に他界しました。でも、最後に私の花嫁姿を見せることができて、親孝行ができたと思っています。認知症が進行していた母もニッコリしてくれましたし、父は杖をつきながらバージンロードを私と一緒に歩いてくれました」

いまは亡き両親を思い出して声を少し詰まらせる美香さん。結婚願望はずっとあったけれど、社会人になってから海外留学などをしていたら40代になっていた。慌てて結婚相談所に入り、「いいな」と思った男性もいたが振り向いてもらえなかった。

2012年には地方に住んでいた両親を東京に呼び寄せた。母親の認知症が原因で父親も疲弊していたからだ。40代半ば、親の介護も必要。美香さんは負い目を感じつつ、結婚する際はどうしても譲れない点があった。信仰を共有できることだ。

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