「40歳での結婚は一般的には遅いと思いますが、私にとっては適齢期でした。20代30代は人としてすごく未熟だったからです。30歳のときに当時付き合っていた人と結婚していたとしても、ワガママすぎる私が愛想を尽かされておそらく離婚していたでしょう。
結婚相談所に2年も在籍していたのに誰とも長く付き合えなかったことで、自分に問題があると認めざるをえなくなりました。仕事を頑張っていたので調子に乗って上から目線になっていたんです。そして、出会えた男性の悪いところばかりに目が向いていました。いま、こんな私を大事にしてくれる主人には感謝の気持ちを強く持っています」
さっぱりとした表情で20代30代を振り返るのは、自営業をしている松本佳代さん(仮名、44歳)。41歳のときに友人と一緒に独立開業するまでは広告代理店で営業担当の契約社員として働いていた。同業他社への転職を2回。より大きくてやりがいのある仕事を目指していた。
「いつかは結婚したいな、とは思っていました。でも、仕事で面白い人に会えることで満たされていて、優先順位は低かったですね」
元来仕事好きだった佳代さん
30歳の頃、「一緒に住みたいね」と話していた恋人がいた。一回り年上の先輩社員、利文さん(仮名)だ。分譲マンションを探したり、彼の母親に会ったりもしたが、当時は佳代さんのほうが煮え切らなかった。
「仕事が楽しかったので、『まだいいよ』と断ってしまいました。3年ぐらい経つと、今度は私のほうが焦り始めたんです。35歳が見え始めて、周りが結婚ラッシュの第2波を迎えていたので。でも、そのときには彼のテンションが明らかに下がっていました」
プライベートでは気分屋で身勝手なことを自認している佳代さん。一度は自分が断ったことを棚に上げて、利文さんに「どうするつもりなの!」としつこく迫り続けた。2人の間に距離が生まれてしまい、別れることになった。
元来仕事好きの佳代さんは「やっぱり仕事を頑張ろう」と決意。大手の広告代理店に転職して猛烈に働き始める。35歳のときだった。
「あわよくば職場のできる男性も捕まえたい、と思っていました。でも、入社してみたら予想以上の忙しさ。徹夜や土日出社は当たり前で、恋愛や結婚などは考えている余裕もなく、髪を振り乱しながら働いていました。ハードなクライアントの要求に自分がどれだけ応えられるのか。必死でした」
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