働き方改革が叫ばれる前の広告業界に浸っていた佳代さん。一方で、中高一貫の女子校の卒業生であり、同級生の影響も受け続けている。
「30代も半ばになると、結婚して子育てをしている人ばかりです。彼女たちの生活は地に足がついているなー、と感じたことがあります。寝る間も惜しんで働いていることが急に恥ずかしくなったんです。私も結婚して自分の家庭が欲しいな、と思いました」
同時に親からのプレッシャーもあった。一人娘の行く末を心配した父親が、佳代さんには無断で親同士の婚活パーティーに参加していたことが発覚。佳代さんのプロフィールを作成してお見合い相手を探していたようだ。
「もう大げんかです。でも、それだけ親に心配されていることを知ってショックでした」
40歳までに結婚することを目標に婚活
ならば自分で結婚相手を見つけるしかない。佳代さんは仕事に忙殺されない同業他社に転じ、大手の結婚相談所に入会した。
「お見合い料がかからないというコスト面と、『1年婚活』というキャッチフレーズにひかれました。いろいろな男性を紹介してもらい、何度か食事に行った人もいたけれどピンと来なくて……」
当時、佳代さんはお見合い相手に、見た目が好みであることと年収800万円以上を条件にしていた。それでもマッチングできたのだからたいしたものだが、条件が適合したからといって気持ちが結婚に向くとは限らない。冒頭で佳代さんが自戒したように、「上から目線」では相手の欠点ばかりに目がいってしまう。
「1年活動してもダメだったので、次は個人経営の結婚相談所にも入ったのですが、そこでもうまくいかずに1年が過ぎました」
佳代さんは自分の姿勢を反省するとともに、2つのことを決めた。1つは、40歳までに結婚できなかったら正社員になってマンションを買い、独身のままで生きていく環境を整えること。もう1つは、期限まで残された時間を今までとは違うアプローチでの婚活に使うことだ。
「婚活パーティーや山登り合コンなどに参加しながら、同級生などにも『結婚したいから、何かあったら声をかけて』と繰り返しお願いするようにしました」
すでに独身の同級生は少なくなっているので合コンは激減。しかし、既婚者もいる「ちょっとした食事会」に独身者がいることもある。佳代さんは誘われたらできるだけ都合をつけて参加していた。
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