前連載である『フェデラー選手も学んだアンガーマネジメント』の第7回「不安から薬物に手を染めてはならない」に、「FF行動(Fight or Flight Response=闘争・逃走反応)」と呼ばれる学説を紹介しました。簡単に言えば、動物は窮地に立たされると、Fight (闘う)または Flight(逃げる)の選択をするというものです。
週刊誌では、「最初は泣き寝入りするしかないと思った」と笹崎さんは語っています。これはFF行動のうち、「Flight(逃走)」の選択をしそうだったと言えるでしょうか。しかし、10月9日には裁判所へ訴状を提出し、「闘争(Fight)」へと選択を切り替えたととらえることができます。
「分かれ道」での選択
裁判の目的は「原告(笹崎さん)が被告(日本テレビ)に対し、労働契約上の権利を有する地位にあることを確認する」というもの。
笹崎さんは週刊誌のインタビューに対し、「この裁判は恨みを晴らすためではなく、『入社させてほしい』とお願いするためにやるものです」と語っており、同時に今でも日本テレビのアナウンサーとして働きたいと思っていること、にもかかわらず軽い気持ちで受験をして内定を辞退したような記事が出てショックだったこと、自分が黙っているとまたこのような報道が出てしまうかもしれないと思ったことなどが語られました。
こうした笹崎さんの思考法は、アンガーマネジメントの技術論にも似たようなものを見出せます。やはり前連載の第7回で書いたことですが、怒って「変えられる(コントロールできる)こと」と「変えられない(コントロールできない)こと」があることを頭に思い浮かべてほしいのです。
たとえば、以下に挙げる事象・事物を、あなたが怒ることで、「変えられる」か「変えられない」を選択してください。
天気、電車の遅れ、渋滞、政治、景気、上司、部下、親、子供、友人、配偶者、恋人、自分の性格、自分の給料、自分の人生……。
怒って変えられると思えば、図中の左の箱へ、怒ったところで変えられないと思えば、右側の箱へ仕分けしてください。
選択基準はあなた自身の基準で構いません。あなたが変えられると思うことであれば「左の箱」に入れ怒ればいいし、変わらないと思うのであれば「右の箱」に入れ、怒ったところで無駄でしかないと割り切るのです。
「怒ること」と「怒らないこと」を上手に区別することがアンガーマネジメントです。何度も書いていることですが、私たちは「怒らなければならない」ことに「怒れず」後悔し、「怒らなくていい」ことに「怒り過ぎ」ては、自己嫌悪に陥っているのです。
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