ワタミはなぜここまで凋落してしまったのか

102店の大量閉鎖を招いた真因

ワタミも手をこまぬいていたワケではない。今年(2014年)1月にはメニューの半分を刷新。専門店で提供されるレベルとクオリティに自信はあったようだが、この策は結果につながらなかった。3月には追加施策として、単品価格の見直しを敢行。生ビールやお通しの価格を下げ、お値打ち感を打ち出した。しかしながら、これらも不発に終わった。足元では花畑牧場や広島県などとのコラボメニューを打ち出すなど、さまざまな取り組みを実施しているが、即効性があるかどうかは微妙だ。

「過労自殺」問題が追い打ち

加えて、ワタミの不振に追い打ちをかけたのは、「過労自殺」問題だ。2008年に自殺した元ワタミ社員の両親が損害賠償を求めてワタミを提訴。これをきっかけにワタミは「ブラック企業」の代名詞として扱われ、それが客足にも少なからず影響を与えているとみられる。ブランドを創るのには時間がかかるが、壊れる時は一瞬。ワタミはこれまでコツコツと創り上げた基盤を崩してしまった。

筆者は10年ほど前の、就職活動時に外食産業に絞って選考を受けていた。そのとき1社目の会社説明会がワタミだった。当時はこれから伸びる企業として注目されていた。12月という当時としてはかなり早い時期の選考だったが、学生は会場いっぱいに集まっていた。

印象的だったのが選考方法。「今、ワタミで働きたいという決断が出来る人は挙手して下さい。この場で内定を出します」。筆者はまだ1社目ということもあり、挙手する勇気はなかったが、それでも数人がその場で挙手し、内定を受けていた。やる気があれば積極的に採用する。まさに勢いを感じた出来事だった。その後、選考段階で辞退したが、企業研究する中で、料理は美味しいし、サービスも良い、コストパフォーマンスの良いお店という印象は強かった。

メニューや価格を見直すぐらいでは、今の苦境を脱するのは難しいだろう。介護や食事の宅配など、これから伸びていくと期待されるビジネスを支えていくためにも、大胆かつ抜本的な戦略の見直しが求められている。

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