でも一方で、「最近はどう?」とあいさつの気分で言っているだけこともあるので、あまり目くじらを立てると「面倒くさいヤツ」になってしまうかも。黙らせるにはあくまでスマートにちくり、くらいで済ませておきましょう。そして、以前も書いたけど、「このセリフ、この人で10人目だわ」とサンプルが増えたくらいに考えて、感情をため込まないのがいちばんです。
時代錯誤はそうだけど……そもそも上司の真意は?
2つ目の問題、「家庭のことを仕事に持ち込むな」「持ち込むヤツは未熟だ」っていう話、こういうことを本気で言っているとしたら、その人はそれ以上、偉くならないと思いますね。プライベートなことを考えないで仕事だけに打ち込んでいる人なんて、今、いるのかしらね。
「ワーク・ライフ・バランス」じゃなく、「ワーク・ライフ・インテグレーション」を指向する時代ですよ? もちろん「公私のけじめをつけろ」「スタンスに甘えを感じる」という指摘をしたいこともあるでしょう。でも、それならば、具体的な事実を指摘して指導すべきです。みんな一律にワークに24時間をささげるというのは、昔話以外の何物でもないし、そんな精神論だけでは、多様な人材をマネジメントすることなんてできない。それができない人が高いポジションに選ばれるわけがありません。
ただ、私は、このことについては、「撃退すべきかどうか」を見極めたほうがいいと思うのです。どうして、その上司たちは、あなたにそんなことを言うのでしょうか。あなたは「嫌み」だと言うけれど、本当にそうかなぁ。あなたはとても仕事ができる人で、テキパキと要領よくどんな仕事もこなしているのではないですか?だとしたら、上司はあなたをとても買っていて、「そろそろギアチェンジして、もっと成長してほしい」と思っているのかもしれないとは考えられないでしょうか。
直属のメンバーではありませんでしたが、私の後輩ワーキングマザーにすごく仕事のできる女性がいました。彼女は、とても手際よく働いていて、成果も出していましたが、飛び抜けた評価は得ていませんでした。彼女はよく私に、「こんなに頑張っているのに認められない」と言って嘆いていましたが、私にも、その成果が彼女の出せる精いっぱいの成果だとは思えなかった。「飛び抜けた成果を出す工夫をしてみたら?」と言ってみると、彼女は私をきっとにらんで、「だって!」と叫びました。
わかるよ、わかる。すごく頑張って両立して、求められている成果をちゃんと出している。その努力もしている。でも、どこかで彼女は自分で設定した目標が、今の身の丈に合ったモノになってしまっていたのです。
目標っていうのは、100%を目指したら100%でしか達成はしないものです。背伸びして届くかどうかの目標を設定するから、120%で達成することもできる。そういう仕事での成長欲求が鈍ってしまうと、どうしても成長カーブがなだらかになりがちになります。
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