しかし、ダイエーの場合は、この点を差し引いてもかなり低い水準ですから、ギリギリで現金を回していると考えられます。資金繰りがかなり厳しいのではないでしょうか。
こうした中、親会社のイオンが、ダイエーを完全子会社化すると発表しました。ダイエーブランドも廃止するとのことです。
なぜ、イオンが一度救ったにもかかわらず、ダイエーは右肩下がりの状況が続いていたのでしょうか。経営コンサルタントの視点から考えますと、例えば、ある企業を買収した場合、親会社は買収先の企業に対して、遠慮とまでは言いませんが、あまり干渉しないこともあるのです。
花王と、カネボウ化粧品の関係に酷似?
とくに、かつての名門企業を買収した場合にこの傾向が表れます。ブランドも違い、かつての名門企業には遠慮もありますから、「子会社は子会社で独立して収益を上げてください」と考えるわけです。ここが問題だったのではないでしょうか。もちろん、仕入れの共通化などのシナジー(相乗効果)はありますが、やはり、経営をコントロールすることが最終的には大切なのです。
2013年に白斑問題で話題になった、花王とカネボウ化粧品の関係は、その典型的な例です。おそらく花王は、カネボウ化粧品をある程度独立させて運営していたのではないかと思います。カネボウは化粧品分野では非常に優れたブランドで、もともと花王の化粧品部門よりもある意味「上」にありましたから、花王は自社流の経営を強要しなかったのではないかと考えられるのです。
ただ、カネボウは、かつて粉飾決算を行って潰れた会社です。その悪い体質を引きずったまま、カネボウ化粧品という高級ブランドを維持させていました。その結果、カネボウの経営の甘さが表面化して、白斑問題が起こったのではないでしょうか。もちろん花王にも責任はあります。
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