イオンとダイエーの関係も同じです。イオンは実質的に経営破綻に陥ったダイエーを救ったものの、ダイエーはかつてのスーパー業界の先駆者ですから、その後、経営については十分に干渉してこなかったのではないでしょうか。それが仇となってダイエーの業績は悪化し続け、ようやくイオンがテコ入れしようと動き出したというわけです。
スーパーマーケットは、利益率が低く「儲からない」
続いて、イオンの2014年2月期決算(2013年3月〜2014年2月)を分析します。
イオンの業績自体は、大きな問題はありません。損益計算書(16ページ)を見ますと、営業収益は前の期より12.5%増の6兆3951億円。営業利益は、10.1%減の1714億円です。利益率は低いものの、絶対額としてはかなり大きな営業黒字を確保しています。
ただ、一つ大きな問題があります。主力の「総合スーパーマーケット(GMS)」事業と、マックスバリュなどが含まれる「スーパーマーケット(SM)」事業の利益率が非常に低いのです。
事業別の収益をまとめたセグメント情報(26ページ)を見てください。GMS事業の「外部顧客への営業収益(=売上高)」は2兆9866億円もありますが、セグメント利益は350億円しかありません。「売上高営業利益率(営業利益÷売上高)」は1.2%と非常に低い水準です。SM事業も1兆5512億円を売り上げていますが、利益率は0.8%しかありません。
一方、イオン銀行やイオンフィナンシャルサービスなどを含む「総合金融」の利益率は14.3%。イオンモールなどの大規模ショッピングセンター開発を含む「ディベロッパー事業」の利益率は19.7%となっています。いずれも400億円を超えるセグメント利益を稼ぎ出しています。
つまり、現在のイオンの稼ぎ頭は、スーパーマーケット事業ではなく、金融やディベロッパー事業となっているのです。
そもそも、今はスーパーマーケットという事業自体が、非常に厳しい状態となっていると言えます。参考までに、同じ小売り大手セブン&アイ・ホールディングスの2014年2月期決算にあるセグメント情報を見てみましょう。
イトーヨーカドーなどを含むスーパーストア事業の「外部顧客への営業収益」は2兆0003億円、セグメント利益は296億円ですから、売上高営業利益率は1.5%しかありません。やはり、スーパー事業は低収益事業なのです。
一方、コンビニエンスストア事業の売上高営業利益率は10.2%もあります。同じ小売りでも、なぜこれだけ収益力に差があるのでしょうか。
それは、コンビニエンスストアは、かなりの部分がフランチャイズ事業だからです。もちろん直営店もありますが、ほとんどがフランチャイジー(加盟店)で占められています。つまり、この事業の営業収入の多くは、加盟店からのロイヤルティ収入で占められますので、スーパーより利益率がかなり高くなっているのです。
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