外務省が「バラエティ番組に進出」のナゼ “異色の"霞が関官僚が考えたらこうなった!

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バラエティ番組放送、音楽ライブ配信、雑誌『BRUTUS』での特集、六本木と日比谷での広告などこれだけのメディアをミックスし、思い切った広報展開をしたのは、外務省では初めて、“霞が関”でも初の試みではないでしょうか。聞いたことがありません。

人に届かない広報には、意味がない

――観光庁と共にクールジャパンを推進するとある民間企業の人に、「“霞が関”がからむと“クール”でなくなる」と聞いたことがあります。観光庁の名を冠すると、イベントなどでの出展ブースが「保守的で古臭くて地味な」ものになってしまうことがあるそうです。

われわれも、記者クラブを通して新聞記事で公表する、シンポジウムを開催する、パンフレットや冊子を作る、ブースを出展するなど従来型の手法を使った広報活動も行っています。それらの活動も必要なことですが、自分で見ていて「これは面白い!」というような斬新さや新鮮な驚きはないなと思うことがあります。国民の方々に意図が間違って伝わらないようにしようと突き詰めていくと、面白さは排除され“安全な形”に落ち着くということはありますね。

そのような従来型の広報活動と比べると、今回はかなり思い切った企画を採用したので、省内の一部からは「こんなことをやって問題にならないのか?」と言われたこともありました。テレビ番組の台本チェックでも、外務省側が番組に盛り込むことが必要だとするコメントが山のようにあるわけですが、番組の流れを止めたり、言葉が堅くてつまらないと思われるようなコメントは、制作会社の方々の意見を取り入れ、ばっさり切り捨てました。

映像チェックの時点でも、「これを流したら上に怒られてしまうのではないか」「この点には触れないでくれ」などという意見が出て、関係各所に「面白さを出すために演出上必要なもの」だと納得してもらうのに苦労しました。

『BRUTUS』の制作現場では、外務省側は力を入れているODAの事例を取り上げてほしいと考え提案するわけですが、もちろん『BRUTUS』側の取材対象者を選択する視点はわれわれと異なることもありました。議論に議論を重ね、外務省側の意見を受け入れてもらうこともあれば、『BRUTUS』のセンスを信じて任せた部分もあります。

外務省には、何事もキッチリ自分でチェックする文化が根付いています。「外務省」が提供、協力する以上、正確性には万全を期す必要があります。ただ、追求しすぎて面白さがなくなってしまえば、広報効果が薄れることになります。目立たなければ広報活動の意味がない。今年一度の打ち上げ花火で終わらないよう、今回の広報活動の効果測定の結果を次の広報活動につなげていきたいと考えています。

中原 美絵子 フリーライター

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なかはら みえこ / Mieko Nakahara

金融業界を経て、2003年から2022年3月まで東洋経済新報社の契約記者として『会社四季報』『週刊東洋経済』『東洋経済オンライン』等で執筆、編集。契約記者中は、放送、広告、音楽、スポーツアパレル業界など担当。

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