外務省が「バラエティ番組に進出」のナゼ “異色の"霞が関官僚が考えたらこうなった!
日本は東日本大震災を経験し、若い人たちのボランティアに対する意識は高まっています。国際機関で働きたいという希望を持つ人もいます。ですが、海外に関心がある人とない人の差が激しい。今後も、青年海外協力隊、JICA、国際NGOや国際機関で数多くの日本人に活躍してもらいたい。そのためにはまず、次世代を作る若い人に、「今、世界で何が起こっているのか」ということに関心を持ってもらうことが必要です。
「ODAという言葉に聞き覚えはあるけど、自分たちとは関係のないもの」だと考えている人や、「日本国内にも援助を必要とする人が大勢いるのに、なぜODAをしなければならないのか」と批判的な意見を言う若い人もいます。ODAは税金を使うものなので、動画コンテンツを通してその活用事例や評価をできるだけ多くの若い人に知ってもらい、税金の使い方について議論してもらいたいと考えています。
今なお、テレビ番組をやる意味
――若い人に認知してもらうということであれば、テレビ放送はやらずにその分、コンテンツ制作におカネをかけて、ネット動画配信だけにするという方法もあったのでは?
ネット上では、積極的に情報を取りにいくような関心のあるもの、好きなことに関するものしか見られません。ネットによる番組配信だけだと、従来からODAの活動に興味、関心を持っている人たちにしか届かないということです。テレビ放送は、「たまたまテレビをつけてTOKYO MXの9チャンネルを押したらODAに関する番組をやっていた」という形で、受動的な視聴者に情報を届けることができます。無関心層に届けるための導入部にテレビというメディアは欠かせません。
とはいえ、テレビ番組提供にはかなり大きな額の費用がかかります。10年前と比べ、外務省の広報予算は3分の1程度に減っています。予算は減っても広報活動の効果は最大限に高めなければなりません。そのためにはメディアの組み合わせ、ターゲットの選択と集中など工夫が必要になります。
たとえば、テレビ番組の宣伝ポスターは東京都内の各駅で展開したいところですが、限られた予算で最も効果的に「若い人」に届けられる場所として、発信力のある若い人が多く集まる六本木駅と日比谷駅の2カ所で集中的に展開しました。
ただの番組宣伝だけでなく、「日本は戦後、新幹線などの整備のために世界銀行から融資を受けていました。完済できたのは、なんと1990年7月のことです」など、Facebookやツイッターで発信したくなるようなODAに関する情報を盛り込んでいます。場所を2カ所に集中できたのは、ターゲットを明確に「若い人」に絞り込んだからできたことです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら