外務省が「バラエティ番組に進出」のナゼ “異色の"霞が関官僚が考えたらこうなった!
音楽好きが高じて、外務省に?!
――今回の広報活動では、「音楽ライブ」をメディアのひとつとして活用されていますね。
『僕らが世界にできること音楽篇』として音楽ライブを開催し、ニコ生で配信したところ、イベント当日の視聴数は10万を超えました。
「音楽を媒体とすればエモーショナルに(感情的に)物事が伝わる」というのが私の持論です。実は私自身、音楽を通して知ったいろいろなことに影響を受けてきました。
中学・高校生の頃、洋楽が好きでイギリスのボーイ・ジョージやスタイル・カウンシルなどをよく聴いていました。今から30年ほど前の1980年代の話ですが、イギリスとアイルランドのアーティストが集まって結成されたチャリティプロジェクト「バンド・エイド」というものがあって、このプロジェクトは、1984年にエチオピアで起こった飢餓を受けて立ち上がったものでした。そのとき、チャリティとして発売されたレコードを買い、そこで、世界に多くの飢餓に苦しんでいる人がいるということを知ったわけです。
このバンド・エイドに触発されて、アメリカではUSA フォー・アフリカが結成され、大チャリティブームへとつながったのですが、当時、イギリス・ロンドン郊外ウェンブリー・スタジアムやアメリカ・フィラデルフィアのJFKスタジアムで開催されたチャリティライブ映像を見て、さらに世界の問題について考えるようになり、気がついたら外交官試験を受けて外務省に入省していました(笑)。
僕の人生を変えた音楽の力の強さ、若い人に与える影響力を実体験として知っているので、外務省に入省とまではいかなくても、今の若い人にも似たような体験を提供したいなと思いました。
僕は、スティングのラシアンズという曲で東西冷戦などの問題を考え、イングリッシュ・マン・イン・ニューヨークという曲でナショナルアイデンティティ(国民としての自己認識)について考えました。シャーデーのパールズというソマリアに生きる女性の歌を聴いて、それまでまったく興味がなかったソマリアについて新聞や本で調べました。
今回の『僕らが世界にできること音楽篇』に出演しているアーティストの方々に興味がある若い人が、「中幸介」「スチャダラパー」「chay」「住岡梨奈」と検索したときに、今回の音楽ライブの動画がヒットし、好きなアーティストの音楽を聴きたくて動画を見たら、「ODA」や「国際協力」という言葉が耳に飛び込んでくる。好きなアーティストをきっかけに海外のこと、国際協力について知ってもらう、というのがこの企画の狙いです。
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