なぜDeNAの観客数は3年で42%伸びたのか 横浜DeNAベイスターズ・池田純社長に聞く

拡大
縮小

――そこで2年目以降は、30代サラリーマン男性を積極的に狙ったマーケティングを展開したということですね。具体的には?

この層は1998年の優勝を知っています。社会人になってしばらくは野球を見に行く暇がなかったが、ようやく部下や後輩ができて、少し余裕が出てきて、久しぶりに部下や後輩、友人、家族を連れて野球を見に行ってみようかという気持ちになっている人たちがいた。

そこで、この層を「アクティブサラリーマン」と命名しまして、この層向けに2012年のシーズン終了後の改装でボックスシートを、2013年のシーズン終了後の改装でパーティースカイデッキを新設しました。いずれもグループで楽しめる席で、ほぼ完売です。

パーティースカイデッキシート。2013年シーズン終了後に1塁側内野最上段の立ち見席を改装、新設された(球団提供)

課題はベイチケのユーザビリティ改善

――そのベイチケですが、せっかく座席を指定して買えるのに午後10時頃から午前1時くらいにかけての時間帯は、パソコン画面がフリーズして動かなくなってしまうことがあります。

ご指摘の通りです。本当に申し訳なく、改善に向けて対策を検討中です。以前は当日売りが中心だったんですが、観客動員数が増えるにつれて、前売り中心にシフトしてきています。

ところが現在のシステムは負荷に弱くて、例えば企画チケットを売り出すと、売り出しと同時にアクセスが集中する。するとフリーズしてしまうことがある。ITの会社なのに、肝心のチケットサイトのユーザビリティが悪いというのは本当にお恥ずかしい話ですが、システム投資が必要で、いましばらくお時間を頂きたいというのが正直なところです。

――チケットレス化はお考えですか。

考えています。今はチケットの引き替えで列ができているので、スマホで入れるよう、スマホ用のアプリを開発しました。11月22日に実施するファン感謝デーからテストを始める予定です。入場以外の便利な機能も検討中です。

――年間シートの再販はどうお考えですか。チケットが完売しているのに、年間シートがぽっかり空いていることがよくあります。チケットが買えず、入れなかった人は、「あの席に座らせてくれればいいのに」と思うのでは。

ご指摘の通りで、2014年シーズンは大入りが23試合もあって、当日券が買えなかった方たちが1000人くらい、外周部の芝生エリアに設置してあるスクリーンでゲームを見ている、という状況になっていました。アメリカでは普通に年間シートの再販はやっているので、検討はしたいと考えています。

次ページ再販への課題は?次の目標は?
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT