「からあげ」業界、激烈なブームの「賞味期限」 ファミレスに居酒屋も参戦、業界地図の行方

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地方の専門店チェーンが空揚げブームを起こしたのは2009年ころだが、ちょうどその辺りから国内の鶏肉消費量は右肩上がりに転じた(下図)。農畜産業振興機構によれば、国内の鶏肉消費量は過去10年間で2割増加し、2020年に222万トンに達した。家庭1世帯当たりの鶏肉月間消費額も10年で約4割増えた。近年の食品市場が飽和していることを踏まえれば著しい伸びである。ちょうどリーマンショックによって消費者の低価格志向が強まり、牛肉や豚肉よりも安価な鶏肉の注目が高まったことも起爆剤になった。

(注)消費量は推定出回り量 
(出所)農畜産業振興機構を基に東洋経済作成

ただ、今後も業界が潤い続けられるかは不透明だ。地方の専門店、大手外食チェーン、デリバリー専門店が入り乱れる混戦の中、「2021年の夏ごろから空揚げの売り上げが明らかに鈍った」(外食大手幹部)との声も聞こえてくる。

月次データを公開しているアークランドサービスホールディングスも、2021年8月から12月にかけて空揚げブランドの売上高が昨年を大きく割り込む結果となった。すかいらーくは「から好し」の出店を抑制するなど、すでに一部の企業では出店ペース鈍化の動きが出ている。

わずか3カ月で撤退を決めた企業も

また、武器であった低価格にも逆風が吹く。牛や豚と比べて肥育期間が短く、コストが安かったことで低価格での提供を可能にしていたが、足元ではコロナ禍の物流混乱に加え、円安傾向を受けて輸入食材価格が高騰している。この状況が続けば、値頃感で伸びてきた業界にとっては転機となるだろう。

参入障壁が低い一方、撤退案件もすでにでてきている。「いきなり!ステーキ」を展開しているペッパーフードサービスも2021年1月に「からあげ くに」を投入したが、レッドオーシャン化する市場を目の当たりにし、わずか3か月での撤退を余儀なくされた。

飲食店向けの物件の取り扱う不動産関係者も「2021年秋ごろから、大手空揚げチェーンの居抜き物件がかなり勢いで出てくるようになった」と口をそろえる。

うたげはいつまで続くのか。業界は試練の時を迎えそうだ。

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