「ネット上の人間関係が怖い人」が知るべき超本質 オードリー・タンがネット発信で大事にする事

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たとえば、台湾には昔から使われている〈PTT〉という名前の大きなインターネット掲示板があり、「スレッド主」と呼ばれる人々がそれぞれのスレッドの規律をメンテナンスしています。スレッド主が行きすぎた行為をすると、いわゆる「そのエリアの長」や「掲示板の主」と呼ばれるような人々が対応します。その模様はすべて、厳格に透明性を保ちながら行われますので、一つひとつの決定は〈PTT〉上に記録されます。

このように、立法院などのいかなる司法システムにも頼ることなく、〈PTT〉に参加する人々が持つ余暇の時間のみでそのガバナンスが発揮されており、それがとてもうまく効いていることがすでに証明されています。

台湾の〈PTT〉であれアメリカの〈Reddit〉であれ、参加者にとって居心地の悪い場所で、価値のある貢献が生まれるということはありえません。

そういうわけで、大きなディスカッションの場所というものは、最後には自治権を持つように進化していくのだと思います。

もし分断が起っている場合は…

もしインターネットのプラットフォーム上で意見の分断が起こっていて、あなたにも何らかの意見がある場合には、そのプラットフォームとはまた別の、どこかあなたに適した場所で意見を発信してみてはいかがでしょうか? 

ブログのような場所であれば、「あなたが一言発すると、他の誰かが直ちに一言返す」というような状況にはなりません。訪れた人が、まずはあなたの文章を読んでからコメントを残すような場所であればよいのです。人と人の間がより親密であるか、衝突するかを決めるのはそれぞれの空間であって、人ではないのです。

もう一つ、インターネット上の公開された場所で起こりやすいのが、「ネット上での暴露」をきっかけにした炎上だと思います。お店でのサービスにせよ人の行為にせよ、何らかのミスがあった時にそれを直接ネット上で指摘され、集中攻撃に遭うようなことは台湾でも頻繁に起こっています。こうなると社会的にも大きな歪みが残りますし、集中攻撃に遭った方は大きな傷を負うことになりますね。

インターネット上の公開された場所で自分のミスを指摘された場合でも、「ご指摘ありがとうございます」と言いながら、その後に自分たちが行った対応の内容をすべて公開すれば、それ以降に何か問題が起きることはほとんどないはずです。

ですから大切なのは、指摘する側が相手に対応できるだけの時間を与えるということではないでしょうか。

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