「ネット上の人間関係が怖い人」が知るべき超本質 オードリー・タンがネット発信で大事にする事

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(写真:Twitter(@audreyt)での投稿より。2021年7月18日)
デジタル化が進む社会のなかで、人と人とのコミュニケーションも変わってきています。その最先端で数々の政策を進める天才台湾デジタル担当大臣のオードリー・タン氏に、デジタル社会ならではのコミュニケーションについて話を聞きました。『まだ誰も見たことのない未来の話をしよう』(語り手 オードリー・タン 聞き手 近藤弥生子)より抜粋して紹介します。

 

世界が新型コロナウイルス感染症に苦しめられている中で、台湾は苦難の中にあっても、権威的ではなく民主的な手法によって、防疫に成功してきました。また、コロナ禍においてもGDPは成長(2020年は2.98%、2021年は6.09%)しており、海外からも防疫の優等生であると評価していただくことができました。

台湾はWHO(世界保健機関)への加盟をいまだ認められていませんが、台湾のやり方「台湾モデル」がきっと世界の役に立てると、私たちは信じています。

デジタル担当大臣として、私が台湾の防疫の成功についていつもお話ししているのが、“3つのF”――「Fast(速さ)」「Fair(公平さ)」「Fun(楽しさ)」――です。

「コロナ禍において陣頭指揮をとる政府がまず速やかに対応し、情報の通達や政策は公平に、ユーモアを持って行うことが重要な成功要因なのだ」という意味です。

インターネットを語るうえでも役に立つ

この“3つのF”について海外に向けて講演すると、「経済の発展と公衆衛生は、どちらかを取捨選択しなければならないのだと思っていた」という反応が返ってきます。

ロックダウンしなくても防疫はできるのです。報道の自由を制限しなくても、ユーモアをもってフェイクインフォメーションを抑えることができるのと同じです。

また、インターネットを語る上でこの“3つのF”はとても役に立ちます。
私が小さかった頃、大人たちは「知らない人の車に乗ったらダメだよ」「知らない人の家について行ったらダメだよ」と言いました。

対面のコミュニケーションにおいて、相手が自分のよく知らない人である場合、時間をかけてやっと相手が善意であるか悪意であるかが判断できるということです。

ですが今の私たちは、毎日スマートフォンアプリで知らない人の車を呼んでいますし、民泊サービスでしょっちゅう知らない人の家に泊まっていますよね。なぜでしょう? それはインターネットのプラットフォームは、何かトラブルが起こるとすぐに見つかって修正されるという性質を備えているからです。

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