気付きにくい「冬季うつ」を防ぐ5つの生活習慣 「食欲が増進する」「眠くて仕方がない」に注意

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まずは、朝起きたらカーテンを開けて、日の光を浴びましょう。

早朝に起きる方は、この時期まだ薄暗いかと思いますが、それでもまずはカーテンを開け、日の光の入る準備をしましょう。できれば、数分間でよいので換気も一緒にできるといいですね。

次に、朝食をとること。血糖値を上げることが大切です。起き抜けに食べられないという方やそもそも朝食をとる習慣のない方は難しいかもしれませんが、フルーツやヨーグルトのようなものを前日から用意しておいて少し口にするだけでもいいと思います。たっぷりのミルクやお砂糖を入れたコーヒーなども、お勧めです。

そして、体を動かすこと。通勤している方は、駅までの道順を変えてみる、少し遠回りする、駅で階段を使うなど、毎日無理なくできることを継続しましょう。在宅ワークの方は、ラジオ体操などの音楽をかけながらの一定の軽い運動が効果的です。サブスクの音源や、YouTubeなどを利用してみるのもいいですね。

料理はいい刺激を脳に与えてくれる

そして、料理です。これも習慣のない方には難しいかもしれませんし、頼めば届けてもらえる時代でもありますが、毎日のことなのでトライするチャンスはたくさんあります。「これおいしそう!」「これなら作れるかも」を原動力に取り組めるといいと思います。

普段、料理されている方も、同じメニューがルーティンになっていることもあると思います。目先を変えて動画などを参考にしながら新しいメニューに挑戦するのもよいですし、多種多様なミールキットも出回っていますので、お手軽で楽しめると思います。

料理は、触覚、味覚、嗅覚など五感をすべて使うので、いい刺激を脳に与えてくれます。実際に、料理をしなかった方が、少しずつ自炊するようになってから、うつ症状の回復が見られるケースは結構ありますし、また炭水化物に偏りがちな食生活を見直し、バランスよく食べるという習慣にもつながりやすいので、よい生活環境への相乗効果があります。

最後に、脳によい刺激を与えるということでは、人と話すことも大切です。気持ちや日々の出来事を言葉に出すことでカタルシス効果(心の浄化作用)が得られ、気持ちの整理につながります。今まで以上に、家族との会話を大切にできるといいですね。友人、知人などとのつながりも、音声ツールやネットを通じてのやり取りも慣れてきていると思いますので、大いに活用していただければと思います。

冬季うつは、4月頃までには徐々に症状が解消されることが多いですが、引きこもりになりがちな背景がそろっている昨今ですので、積極的に精神的なコンディションを高められるよう工夫することをお勧めします。気分が落ちたまま、年度替わりを迎えることを避けましょう。心身の状態を良好に保つことが、ウイルスなどへの予防にもつながると思いますので、ぜひ参考にしていただければ幸いです。

大野 萌子 日本メンタルアップ支援機構 代表理事

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おおの もえこ / Moeko Ohno

法政大学卒。一般社団法人日本メンタルアップ支援機構(メンタルアップマネージャ資格認定機関)代表理事、産業カウンセラー、2級キャリアコンサルティング技能士。企業内健康管理室カウンセラーとしての長年の現場経験を生かした、人間関係改善に必須のコミュニケーション、ストレスマネジメントなどの分野を得意とする。現在は防衛省、文部科学省などの官公庁をはじめ、大手企業、大学、医療機関などで年間120件以上の講演・研修を行い、机上の空論ではない「生きたメンタルヘルス対策」を提供している。著書に『よけいなひと言を好かれるセリフに変える言いかえ図鑑』(サンマーク出版)がある。

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