「脱炭素世界一」を目指す中国の超したたかな戦略 表の顔と裏の顔を使い分ける中国の思惑

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「脱炭素」をめぐる中国のしたたかな戦略とは(写真:新華社/アフロ)
21世紀はアメリカと中国の「二強体制」になると言われています。しかし、ヨーロッパも二強に対抗する形で第三極を目指しており、まさに「三国志」の時代とも言えます。世界を巻き込む大変革である「脱炭素」をめぐっても、各国の思惑が渦巻く中、中国には世界制覇をもくろむ「したたかな戦略」があります。本稿では、中国がどんな構想を描いているのか、江田健二氏の新著『2025年「脱炭素」のリアルチャンス すべての業界を襲う大変化に乗り遅れるな!』より一部抜粋して紹介します。

中国の表の顔と裏の顔

21世紀の覇権を目指す中国には、脱炭素に対する2つの顔があります。

まず、裏の顔からご紹介しましょう。それは、温室効果ガス排出量の圧倒的1位が中国であるということです。温室効果ガスの排出が多い都市ランキングで上位10都市中9都市が中国であるとの報告があります(ちなみに同報告書では、東京は17位)。

温室効果ガスの排出量も伸び続けています。例えば、輸送関連の温室効果ガスの排出量は、1990年の10倍以上です。そのような中でも中国は旺盛なエネルギー需要に応えるために化石燃料を大量に利用しています。中国の2018年の電源割合は、火力68%と高く、原子力4%、水力18%、再エネ(水力以外)8%です。今後も火力発電所の新設を検討しています。

次に表の顔です。脱炭素関連投資についても中国が世界1位です。太陽光発電、風力発電のこれまでの累積導入量および年間導入量も、世界1位です。太陽光パネルメーカーの出荷量ランキングでは、中国系企業が上位5社を独占しています。風力発電タービンメーカーランキングでは、上位5社中2社が中国系企業です。

習近平国家主席は、2021年3月の中国の国会に相当する全国人民代表大会で、2030年までにCO2排出ピークアウト、2060年までに実質ゼロにすることを宣言しました。今後も国内の再生可能エネルギーなどを積極的に増やしていくでしょう。

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