ザカリア氏の指摘の通り、韓国はOECD(経済協力開発機構)の加盟国の中、男女の賃金格差がもっと大きい国であり、女性国会議員の比率は20%に満たない。上場企業の女性役員は5.2%に過ぎないのが現状である。女性が置かれている社会・経済的環境は依然厳しい。
多くの若い世代はこうした不平等な状況に問題意識を持っている。特に20代は、男女平等に関する意識が他の世代より高いという研究結果が多く出ている。
「20代男性についての再考察」(2020年)という研究では、男女平等に関する意識は20代女性が最も高く、次が20代男性であり、20代における男女平等に関する意識は最も高いという結果が出た。一方、韓国日報社が去年実施した調査によると、20代男性の79%が「男性は深刻な差別を受けている」と答えた。
「差別を受けているのは女性ではなく男性である」。このような認識を共有し、女性のための政策に反対し、男女平等を求めるフェミニズムに集団的な反感を顕にする「イデナム」は一体何なのか。「イデナム現象」をどう理解すればよいのか。その実態を探りたい。
女子「オリンピックスター」への執拗な攻撃
去年開催された東京オリンピックで、韓国で1人の女性スポーツスターが誕生した。アン・サン選手(20歳)である。アン選手は女子アーチェリー競技でオリンピック史上初の3冠という偉業を成し遂げた。
韓国初のオリンピック3冠でもあり、韓国メディアは「目を疑うほどの大記録」と、彼女の実績を高く評価するなど、アン選手はオリンピックスターとなった。しかし、このような関心の裏で、主に20代の男性が利用するネットコミュニティでは彼女に対する批判が広がっていた。
発端はアン選手のヘアスタイルであった。20代男性たちはショートカットであるアン選手の髪型に注目し、「短髪の女性はフェミニストであり、アン選手もフェミニストである」ということから批判の対象になったのである。なぜ、20代男性が「短髪の女性=フェミニスト」という認識を共有しているのか。
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