韓国で「ショートカットの女性」が攻撃されるなぜ 女性を嫌悪する20代男性「イデナム」の正体

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若い男性に逆差別を感じさせる代表的な制度が2003年に導入された「両性平等採用目標制」である。これは国会公務員の採用において、いずれの性別が、募集分野ごとに一定の割合を下回らないように、追加で合格させる制度。20代の男性はこの制度が男性を差別する制度であると認識している。しかし、この制度で追加採用されたのはこの8年間男性の方が多いのが実情であるが、若い男性はこの制度の廃止を求め続けている。

若い男性における「(ラディカルな)フェミニズムは男性を潜在的な加害者とみなしている」という認識にも原因があると思われる。

「潜在的な加害者扱い」に憤り

20代の男性らは「潜在的な加害者扱い」という言葉をよく口にする。2016年、若者が多く集まる江南駅近くのトイレで、20代の女性が30代の男性に殺害される痛ましい事件が発生した。犯人は取り調べで「女性に無視されたので殺害した。彼女とは面識がない」と供述した。

この通り魔事件を受け、事件現場周辺では追悼運動が始まり、参加した多くの女性から「事件は女性嫌悪に起因するもので女性嫌悪は社会問題となっている」という声が上がった。これに対し、男性からは「すべての男性が女性を嫌悪するわけではい」「加害者扱いはやめてほしい」という反論が出た。

2018年には韓国版「#MeToo」運動が始まり、セクハラで有力政治家が辞任に追い込まれ、自殺する事態が起きた。加害者としての男性の実態が明らかになり、男性に対する社会的な目線は厳しくなった。20代の男性は厳しくなった男性に対する社会的な目線を感じているのである。

さらに、一部のフェミニストたちからは、主に男性が利用するネットコミュニティを監視しようとする動きもでた。ある20代男性は一連の動きについて「フェミニストは男性を潜在的な加害者と見ているのではないかと感じてしまう」と言った。20代男性はフェミニストから監視されていると感じているのである。

もう1つの原因は、韓国ならではの事情である。

韓国には徴兵制がある。男性だけに課される「徴兵制」は、男性にとっては男女不平等の象徴である。18歳以上のすべての男性には「兵役の義務」が課される。特段の事情がなければ例外は認められない。兵役期間は18カ月から21カ月。兵役を果たすことでもらえる給料は高くても月5万円程度に過ぎない。

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