「人生の目標は何だっていいんだ」と気づいた日 資本主義の論理から飛び出す「50代冒険家」

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つまりわれらはうまいことをゴミを移動させ、見えない場所に持って行くことで、ゴミなどまるで「なかったこと」のように振る舞っているだけであって、それも早晩破綻しかねない。ってことは、結局はわれらもこの南インドと何ら変わらぬ状態にあるのではないだろうか? 

そしてインドの風景を見ていると、なぜこのようにゴミがあふれかえるようになったのかは何となくわかるのだった。それは「豊かさ」のなせるわざである。

昔は住む場所も食べるものも、そこらじゅうでふんだんに育つバナナやココナツなどを利用して賄っていたので、すべては古くなれば自然に還っていったのだろう。

でも世界から集まってきたさまざまな便利な商品が当たり前に売り買いされるようになると、当然、そのほとんどは地元でとれたものじゃないわけじゃないので、自然には還らないのである。特に安くて便利で軽いプラステイックが押し寄せるエネルギーは凄まじく、深い穴を掘ってなんとかなる段階をたちまち超えてしまったのであろう。

で、われらとて結局は同じ問題を抱えているのだ。豊かさの中を生きる私こそ、まさにこの世にゴミを増やし続けている一人なのである。この道路脇にあふれ出たゴミは、私が出しているゴミと地続きなのだ。綺麗な川にゴミが浮いてて興ざめだワなどと口をとがらかしている場合かってことなんである。

突然浮かんだ「人生の目標」

……と、インド女性の極上マッサージを受けつつ、ヒマにあかせてそのようにつらつらと考えていた時、私の頭にあるアイデアが突然炎のごとく、キラーンと浮かんだのでありました。

私……人生の目標を見つけたかも!

そうだよ、これからの人生の目標として「プラゴミを出さない」ってことを一人勝手に掲げるっていうのもアリなんじゃ……? 何しろちょうど人生の目標なくしたとこだしさ! 

……いやわかってます。なーんだ、って話ですよね。人生の目標というには、あまりに個人的な極小の話である。でも考えれば考えるほど、これはなかなかスンバラシイアイデアであるとワクワクしてくるのであった。

第1に、これは確かに、NPOを立ち上げるとか区議会議員に立候補するとかいうことに比べれば、まったく小さすぎる話である。でもだからこそ自分の胸一つですぐ実行できるし、それに何よりも、これは小さいようで、実はなかなかに野心的かつ革命的な目標なんである。

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