日本女子バスケが100以上もの陣形を用意した訳 五輪銀メダルに導いた男が手段を多様化した意味

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手段がひとつしかないのであれば行き詰まってしまいます(ロイター/アフロ)
東京オリンピックで史上初の銀メダルに輝いた日本女子バスケ。当時、監督として強い日本語で情熱的に声をかけ選手を鼓舞し続け、結果を出したトム・ホーバス氏の教えをまとめた著書『チャレンジング・トム - 日本女子バスケを東京五輪銀メダルに導いた魔法の言葉』から一部抜粋、再構成してお届けします。
前回:「東京五輪銀」日本女子バスケが重ねに重ねた準備(2月15日配信)

選択肢を増やして使い分ける

日本には「雨垂れ石を穿つ」という言葉があります。どんなに小さな雨粒でも、1カ所に落ち続ければ、やがて石に穴を開けることができるという意味です。

もちろん目標を達成しようと思えば、それに向けて集中することはとても重要なことです。私たちが目標をぶらさずに、「東京2020オリンピックで金メダルを獲る」ことだけに集中したこともそれと同じです。結果として目標には辿り着けなかったけれども、オリンピックの決勝戦まで勝ち上がったのは、決して諦めずに“雨粒”を落とし続けたからでしょう。

ただ、そのための道(手段)がひとつしかないのでは行き詰まってしまうこともあると思います。

現代バスケットボールは「スカウティング」と呼ばれる、いわば敵情視察とその分析がすごく細かくおこなわれます。

相手チームの試合映像を撮り、その動画を専用のソフトウェアにかけて分析し、どう攻略するかを考え、実行していく。

オフェンスでいえば、単にボールを持っている選手のアクションだけでなく、ボールとはまったく関係のないところでのアクションにも目を向けなければいけません。ディフェンスも、どんな守り方をしてくるのか、事前に知っておくことで、対処の準備ができます。

オリンピックは最大で6ゲームしかありません。しかしそれだけあれば十分にスカウティングができます。

相手チームは「日本はこういったオフェンスをしてくる」「このオフェンス戦術に対しては、こんなディフェンスをしてくる」とすぐにわかるのです。

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