「東京五輪銀」日本女子バスケが重ねに重ねた準備 彼女たちを率いて旋風巻き起こした男が説く心得

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東京五輪で史上初の銀メダルに輝いた女子バスケ日本代表(いちばん左上が筆者、写真:東京スポーツ/アフロ)
東京オリンピックで日本女子バスケは史上初の銀メダルに輝いた。体格がものをいうバスケットボールで、平均身長が出場12カ国で2番目に低い176センチの日本は強豪国を次々と撃破し決勝に進出。「小さくても勝てる」を実践し、世界を驚かせた。
旋風を巻き起こしたのは、4年前の監督就任時から「金メダルを目指します」と言い続けたトム・ホーバス。強い日本語で情熱的に声をかけ選手を鼓舞し続け、結果を出した彼の教えをまとめた著書『チャレンジング・トム - 日本女子バスケを東京五輪銀メダルに導いた魔法の言葉』から一部抜粋、再構成してお届けします。

準備は綿密に計画的におこなう

目標を達成しようと思えば、そのための準備をしなければいけません。いや、し続けなければいけないと言ったほうがいいかもしれません。

目標を達成するためには何が必要なのか。モノ、ヒト、環境、情報──必要と思われるあらゆるものを、つねにアンテナを広げながら、継続的に準備していく必要があります。

日本代表のヘッドコーチの準備は人選から始まります。国内リーグを観戦して、これはと思う選手をキャンプに招集します。そこで日本代表の中で役割を果たしてくれそうかどうかをチェックしていくわけです。

しかし最初の人選も簡単なことではありません。毎年、国内のリーグ戦を終えたところで、よいと思っていた選手が引退することがあるからです。ケガなどで招集に応じてくれないこともあります。

加えて2020年は新型コロナウイルスの世界的な感染拡大です。1年以上も選手たちを集められませんでした。

その間、私自身もいろんなことを考えすぎて、少し混乱していました。やはり1年以上も集まっていないわけですから、どうしよう?と不安に思うのも無理はなかったと思います。

ただ2021年4月1日に日本代表候補選手たちを招集したとき、「ああ、彼女たちとはこういう練習をしたほうがいいな」とコーチングの方向性がパッと頭に浮かんできたのです。

なぜかは今もわかりません。選手たちの顔を見たら、私自身も落ち着いて「よし、これをやろう」と思えたのです。

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