「東京五輪銀」日本女子バスケが重ねに重ねた準備 彼女たちを率いて旋風巻き起こした男が説く心得

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キャンプの前には準備すべきことがたくさん思い浮かびます。でもそれらすべてを1日でやることはできません。少しずつ準備を積み重ねていって、最後に結果として具現化していきます。

私はたいていキャンプの前に、そのキャンプでやりたいことのリストを作ります。手書きの簡単なメモを作って、それをスタッフミーティングでコーチ陣と共有する。彼らにも「やりたいことはありますか?」と聞いて、それらをブラッシュアップさせていくのです。

女子日本代表は10日間単位でキャンプを実施することが多いので、まずは今回の10日間で何をすべきかよく考える。やるべきことが決まったら、とにかくその10日間に集中します。

次のキャンプに向けては、それがおこなわれる前にまた考えます。前回のキャンプではこれが足りなかったから、もう一度それに取り組もう。今回こそはクリアしよう。そうしたプロセスを重ねていくわけです。

準備の仕方はさまざまです。キャンプが始まる前に「第1次キャンプはこれをやる」「第2次キャンプはこれをやる」と、すべてを先に準備する方法もあるでしょう。それにはそれのよさもあると思います。

ただ私はそうしたスタイルではなく、目の前のキャンプに集中し、何がよくて何が悪かったかをキャンプ後にチェックするスタイルを取ります。それは性格的なもの、もしくはそれこそコーチたちの経験によるものなのかもしれません。

そこに良しあしはないと思いますが、少なくとも女子日本代表はそうやって準備を結果へと昇華させていきました。

迷ってしまうのは準備が足りないから

準備したことをしっかりと落とし込めれば、選手たちは考えなくても体が動くようになります。逆に準備期間でコーチが難しいことや複雑なことを伝えすぎると、選手たちも考えすぎて足が動かなくなります。選手はそれほど考えないほうがいい、というのが私の考えです。

私が選手たちにそれぞれの役割を与えていたのもそのためです。たとえば「あなたはシューターです。目の前が空いたらシュートを打って」。シンプルです。空いたら打つ。それだけ。それでも選手たちはたまに迷います。打っていいのかな? ドライブも行けるんじゃないかな? この流れで打って、入らなかったらどうしよう? などと考えて、動きに迷いが生まれるのです。迷っていたり、悩んでいたらシュートは入りません。それは選手としての、私の経験からもわかっていることです。とくに日本の女子選手たちは真面目であるがゆえに細かいことをたくさん考えています。

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