日本女子バスケが100以上もの陣形を用意した訳 五輪銀メダルに導いた男が手段を多様化した意味

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もちろん効けば、それを使う頻度は高くなってきますが、相手も世界の強豪国です。その対策を試合の中でおこなってくることもあります。そうしたアジャスト力、順応性は世界で戦っていくには必須といっていいでしょう。

そうして最初に決めたフォーメーションが効果を発揮しなくなれば、次のフォーメーションを選択していきます。たとえば馬瓜(まうり)エブリンはドライブが得意なので、彼女のドライブを生かすフォーメーションがありました。赤穂ひまわりもそう。宮澤夕貴や林咲希のための3ポイントシュートを打つフォーメーションもありました。

彼女たちのためのフォーメーションですが、当然のことながら、彼女たちの得意な動きを生かすために、残りの4人も的確な動きを遂行しなければいけません。相手の強みはどこで、弱点はどこか? 今はどちらのチームに流れが傾いているか? コーチやポイントガードはそうしたことを見定めながら、よりよいフォーメーションを選択していくわけです。

フォーメーション100個でも足りないぐらい

バスケットボールのディフェンス戦術は大きく分けてふたつあります。1対1で個々を守るマンツーマンディフェンスと、決められた地域を一定の型をキープしながら守るゾーンディフェンスです。

そこに細かな戦術も加わってきますが、相手が何をしてくるかは、ふたを開けてみなければわかりません。それぞれに対するフォーメーションを用意しなければいけませんし、インバウンドプレーと呼ばれるコートの外からボールを入れて、リスタートするプレーのフォーメーションも準備しなければいけません。

100個もあると聞いて驚いた方もいるかもしれませんが、試合で考えられるさまざまな状況を考えると、100個でも足りないくらいです。

ただ間違えてほしくないのは、そうしたフォーメーションを、決められた動きの通りに遂行したから、銀メダルを獲得できたのではありません。

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