日本人の大半が知らない欧米流リーダー育成の肝 多読でディベートを積み重ね問題解決力を磨く

とても楽しみなのは、学期中に毎週日曜日に行われるオックスフォード保守党のディベートです。これは学生の立場から保守党を支持する団体ですが、ディベートはメンバーになれば誰でも参加できます。

ここのディベートは、ポート＆ポリティクス（P＆P）と呼ばれます。安い参加費で毎回ポートワインが飲み放題なのです。特徴は、ディベートが始まる前に、スピーカーも聴衆も、すでに酔っぱらっていることです。

議長が、議題の賛成・反対の立場から、その場で手を挙げた人を交代で指名していきます。時間は短く、約2分以内に意見を述べます。問題は、酔って大声で談笑している聴衆に話を聞かせることです。

あまり真面目だと、すぐにブーイングで邪魔されます。深刻な議題でもユーモアや、ウィットを利かせて聴衆を惹きつける必要があるのです。笑いを取れれば、議長に指名される機会も多くなります。イギリスの政治家のスピーチが面白いのは、このような経験を積んでいるからかもしれません。

パキスタン初の女性首相だったブットーは、ここで後の首相メイに、ユニオンの代表だった、夫となるフィリップを紹介しました。もちろんジョンソンもキャメロンも、この組織で青春を謳歌しています。

毎日のように、どこかで大きなディベートが開かれる？

保守党があれば、労働党を支持する団体も当然あります。ここでは、毎週月曜日にディベートを行います。また、オックスフォード自由民主党もあり、こちらは火曜日にディベートを実施しています。いずれの討議も政党の支持者になる必要はなく、訓練を積むために日曜日の保守党から全て参加する学生もいます。

また水曜日には、国際ディベート組織の討議が行われます。そして木曜日は、先に述べたユニオンの公式ディベートです。

学期中は毎晩のように、どこかで大きなディベートが行われ、希望者は気軽に参加しトレーニングを積める仕組みがあるのです。