日本人の大半が知らない欧米流リーダー育成の肝 多読でディベートを積み重ね問題解決力を磨く

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ジョンソン、メイ、キャメロンという危機時のイギリス首相の共通点は何でしょう。実は彼らは、学生時代にユニオンやオックスフォード保守党などディベート組織で活動してきたのです。

さて、いかにディベートを通して交渉を行い、人を説得し行動を起こさせるコミュニケーション戦略を身に付けるのでしょう。オックスフォードで行われているトレーニングを紹介していきます。

競技ディベートの形式

ユニオンのディベート訓練は世界大学ディベート選手権方式で行われます。これは初回に触れた、世界50カ国以上の大学が参加する大会です。これらの国ではディベート力がリーダーに必須と認識しています。一般に競技ディベートと呼ばれ、審判団が主に勝敗を決めます。1チーム2人で、賛成派2チームの4人と、反対派2チーム4人が対抗戦を行います。

どのチームが動議に賛成、反対のサイドになるかは、その場で決められます。動議は競技直前に発表され、15分間のディベート準備時間が与えられます。準備は2人の各チームで行われるので、同じ賛成派でも、別のチームが何を話すのか予想できません。

ディベートが始まると賛成派、反対派が交互に1人7分のスピーチを行います。

その場で相手側の主張を分析し、発言内容を決断する!

たとえば2020年の議題の1つは「全ての貿易障壁は即刻撤廃すべき」でした。1番手の発話者がこの議題の定義を行い、正当性を訴えます。後に続く話者は前の人の意見を反証し、自分側がより正しいことを証明していきます。ポイントは明確な証拠を示し、それを使い証明するのが妥当だと説得するのです。

交代で反対の立場が提示した証拠を攻撃し、妥当性を否定していきます。この際、これまでの自分サイドの議論のほうが説得力のあることも証明します。つまり順番が後になるほど、自分の準備した意見を述べる時間は短くなり、ディベートの流れに沿って内容を変えていく必要があります。

結果は、審判団が各2人の4チームに順位を付けます。どれだけ議題を的確に議論しているか、相手側の主張を崩しているかで判断します。

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