読書しまくる人とまるで読まない人に生じる大差 欧米の外交やリーダーと交渉するには何が必要か

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書籍や論文執筆で身に付けたインテリジェンスの差は如実に表れます(写真:TY/PIXTA)
世界的な政治家やCEOなどのリーダーを輩出し、世界一といわれるイギリスのディベート組織「オックスフォード・ユニオン」は、いかにリーダーを育てているのか。
オックスフォード・ユニオンのリーダーシップのはぐくみ方と交渉術をまとめた中谷安男氏の著書『オックスフォード 世界最強のリーダーシップ教室』から一部抜粋、再構成した3回連載の2回目をお届けします。
前回:日本人がわかってない欧米流リーダー育成の凄み(2月9日配信)

なぜ自由な議論が大切なのか?

皆さんが欧米のリーダーと、交渉の席に着いた時のことを想像してみてください。テーブルの向こうにいる人がなぜ選ばれ、どのような準備をして来ているのでしょうか。彼らがそこにいる理由の1つは、高度なディベート力を持っているからだと思われます。

今回は、ディベートに必要な、イギリスの自由な議論、交渉術の鍛錬、相手を説得する文章力の構築を見ていきます。

前回(「日本人がわかってない欧米流リーダー育成の凄み」2月9日配信)は、オックスフォード・ユニオンのディベートが歴史を変えるというお話をしました。ヒトラーなど独裁者が、ユニオンの「国王と国家のためには戦わない」とのディベート結果を知り、ヨーロッパ侵攻を決意したという伝説でした。

第2次世界大戦前のこのディベートは、マスコミの批判を受けます。首相チャーチルは、後々までこれを「イギリスの若者の恥」として憎みます。日本で、大戦前に、このような公開討議を想像できるでしょうか。

ディベートの基本は、タブーを設けずにあらゆる議題を扱います。権力や社会情勢に左右されることなく、社会的に重要な課題を専門家も招いて自由に議論を行い、賛否を多数決で決めます。

これは、新しく起こる問題に対して、今の行政や企業が、必ずしも最適な解決法を示せるとは限らないからです。さまざまな異なる立場や観点から、世の中にある無限の可能性を自由に議論して発見する。これがディベートを中心としたユニオンの基本です。若者は自分たちがリーダーになった時のために、堂々と意見を述べるのです。

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