なぜ自由な議論が大切なのか?
皆さんが欧米のリーダーと、交渉の席に着いた時のことを想像してみてください。テーブルの向こうにいる人がなぜ選ばれ、どのような準備をして来ているのでしょうか。彼らがそこにいる理由の1つは、高度なディベート力を持っているからだと思われます。
今回は、ディベートに必要な、イギリスの自由な議論、交渉術の鍛錬、相手を説得する文章力の構築を見ていきます。
前回(「日本人がわかってない欧米流リーダー育成の凄み」2月9日配信)は、オックスフォード・ユニオンのディベートが歴史を変えるというお話をしました。ヒトラーなど独裁者が、ユニオンの「国王と国家のためには戦わない」とのディベート結果を知り、ヨーロッパ侵攻を決意したという伝説でした。
第2次世界大戦前のこのディベートは、マスコミの批判を受けます。首相チャーチルは、後々までこれを「イギリスの若者の恥」として憎みます。日本で、大戦前に、このような公開討議を想像できるでしょうか。
ディベートの基本は、タブーを設けずにあらゆる議題を扱います。権力や社会情勢に左右されることなく、社会的に重要な課題を専門家も招いて自由に議論を行い、賛否を多数決で決めます。
これは、新しく起こる問題に対して、今の行政や企業が、必ずしも最適な解決法を示せるとは限らないからです。さまざまな異なる立場や観点から、世の中にある無限の可能性を自由に議論して発見する。これがディベートを中心としたユニオンの基本です。若者は自分たちがリーダーになった時のために、堂々と意見を述べるのです。
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